世界標準のワクチンを求める ワクチンパレードにご参加を!!

公開日 2015年06月25日

 2008年以降、多くのワクチンが導入された。

 2013年4月よりヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、HPVワクチン、また、2014年10月からは水痘ワクチンと成人対象の肺炎球菌ワクチンが定期接種化された。さらに来年度以降にB型肝炎ワクチンが定期接種化されようとしている。

 このように海外とのワクチンギャップは徐々に解消されつつあるが、未だにWHOが推奨しているロタウイルス、ムンプスウイルスに対するワクチンは任意接種のままで窓口での負担を強いられ、無料で接種することはできない。

 とりわけ、子どもの定期接種化の最大のメリットは個人の費用負担なしにワクチン接種が受けられることだ。予防接種費用は一部助成でも接種控えが生じてしまう。任意接種では、市町村から個人への接種勧奨は地域によりまちまちで、実施されていない地域もあり、保護者が情報を十分に受け取れない状況となり情報格差を招いている。

 定期接種化のメリットとしては接種率を大幅に向上させることで、社会全体の病原体を減らし、流行を縮小・消滅させていく集団免疫効果により、ワクチン接種を受けていない、受けられない人まで含め社会全体が大きな恩恵を受けられることにある。

 このように集団の免疫のレベルを高め感染症を封じ込めることで社会での感染の連鎖を断ち切ることができるのだ。

 広い意味でのワクチンギャップはワクチンの種類だけではない。生ワクチンを接種すると27日以上、不活化ワクチンは6日以上あけなくてはならないなどというルールは日本だけだ。

 副反応がみられた場合、原因となったワクチンを明確にする目的で設けられたが、同時接種が一般的になった現在、その必要性は薄れ、早期に撤廃されるべきと言える。

 また、海外においては、多くのワクチンの接種方法は筋肉内接種だ。複数ワクチンを同時接種する場合、または新しい混合ワクチン、アジュバントを含んだワクチンの標準的接種法が筋肉内接種なのである。皮下接種よりも痛みなどの局所反応も少なく、効果も良い(免疫原生が優れている)ことが知られているからだ。

 同時接種についても、日本小児科学会は2011年に「予防接種を効率的に行うための重要かつ必要な医療行為」と提言しているにも関わらず国として認めていないというギャップも残っている。

 入院児、重症心身障害児、里帰り児などの居住地以外ではワクチン助成制度を受けられないという相互乗り入れ問題の地域格差も残っている。

 米国には、これらすべての予防接種に関する提言を作成する組織(ACIP)があり、その提言をそのまま行政が実行していく制度がある。国の行政機関とは完全に独立した組織、日本版ACIPが望まれるばかりである。

 今年で6回目となる「ワクチンパレード」が7月2日に開催される。パレードを通じて、制度拡充と世界標準のワクチンの定期接種化を訴え続けていく。ぜひご参加いただきたい。

(『東京保険医新聞』2015年6月25日号掲載)