パート労働者に関する法改正 再来年4月までに対応を(世・渋)

公開日 2016年11月04日

 世田谷・渋谷支部は10月19日、支部例会を開催し8人が参加した。支部活動報告では、民進党渋谷区議団に「子ども医療費」の助成対象を18歳まで延長することの他、成人の男性に対するMRワクチン接種費用の助成、医療機関で負担している生活保護受給者の医療要否意見書提出時の郵送料を区で負担することなどを小林建一支部長名で要望し、懇談したことの報告があった。

 次に、協会保険医サポートセンター顧問団の石田仁社労士(協同組合DDK)が「雇用トラブルを未然に防ぐ」ためのポイントを解説した。
 診療所でひと度、労使トラブルが起こると解決までひと苦労である。石田氏は、労使紛争の解決を図る制度として「労働紛争調整委員会によるあっせん」を紹介した。
 労働局にあっせんを申請し受理されると、専門家が労使別々に事情聴取し、事例に応じた妥当な解決策を提示してくれる。あっせん案を双方が受諾すると解決する、という流れだ。費用も一切かからない。「申し入れをする際は感情的にならず真摯な姿勢を示すことが望ましい」とアドバイスした。

世・渋支部例会
 また、パート労働者に関する法改正を紹介。2013年4月以降、1年などの契約期間の定めのある契約が繰り返されて通算5年を超えた場合、労働者の申込みにより、期間の定めのない契約に転換しなくてはならない。対象者が出現する18年4月からは、同じパート労働者でも無期雇用と有期雇用が存在することになる。「それまでに医院での取り扱いを明確にしておかれたい」と語った。

 石田氏は、労働法制について「政府は労働の場を大企業と公務員しかイメージしておらず、中小零細事業所は全く見ていない。有給休暇の消化など余剰人員のない診療所では労基法どおりに運用するのは難しい。中小零細でもやりきれる社会のルールづくりが必要だ」と訴えた。
 質疑応答では個別事例の相談があり、石田氏から法に則りつつも柔軟な対応による回答が示され、大変有意義な会となった。

『東京保険医新聞』2016年11月5日号掲載