診療報酬や算定要件 国は「ヒト」に予算を(荒川)

公開日 2016年11月15日

荒川支部例会2016

 荒川支部は10月25日、支部例会を開催し13人が参加した。
 今回は、鶴田幸男会長を招いての開催となった。鶴田会長は、足立区で起きた外科医師の逮捕・不当勾留事件について、協会として早期釈放を求める理事会声明を発表し、10月14日には司法記者クラブで記者会見を行ったと報告し、早期釈放に向け協力いただきたいと強調した。

 続いて「個別指導の最新情報―指導の仕組みと東京の動向」と題して、事務局から報告した。
 報告のなかで、今年に入り指導実施通知が従来の「3週間前」から「1カ月前」に、また指導対象となる患者名の通知が従来の「指導日の4日前に15人分、前日に15人分」から「1週間前に20人分、前日に10人分」と若干緩和されたことが示され、協会の要望・運動によって一部が実現した点が強調された。

 討論では、「公的病院では1日に1,000万円の赤字が出ているところもあると聞く。懸命に地域医療に貢献しているそうした公的病院がきちんと運営できる診療報酬を設定すべきではないか」との意見が出されると、「しかし、国立病院に勤めていた頃の話だが、ドクターは懸命に働くが、検査技師等の職員は決して自分の1日のノルマを増やそうとしなかった、だから、赤字を解消できないのではないか」といった意見も出された。

 また、「健診で異常を見つけ保険診療に移行した場合、初診料が算定できないとのことだが、再診料の算定はどうか」との質問に対しては、参加者から「荒川区の健診は、初診の費用は含んでいるが、再診の費用は含んでいないので、再診料の算定は問題ない」といった回答が出された。
 さらに、「病名と検査や薬剤の適応病名との不一致に苦労している。診療実態に合わせたレセプトの審査を行ってもらいたい」との意見が出された。

 これらの発言を受けて石山哲也理事は、「国はヒトからモノへ予算を動かそうとしている。協会は、モノからヒトへと戻すよう働きかけている。これからも支部会議で出された声を理事会に反映し、さらに医政に反映するようにすすめていきたい。ぜひ日常診療で感じている声を聞かせてほしい」と発言した。
 最後に小島靖先生から閉会挨拶があり、終了した。

(『東京保険医新聞』2016年11月15日号掲載)