中医協 新点数を答申(2016年4月改定)

公開日 2016年02月25日

 2月10日に答申された中医協の個別改定項目および告示案より、大幅に改定された在宅医療分野について解説する。

在宅時(施設入居時等)医学総合管理料と訪問診療料の新点数
  患者状態
診療回数
単一建物
居住者
支援診・病院以外 支援診・病院 強化型支援診・病院
病床あり 病床なし
処方せん 処方せん
あり なし あり なし あり なし あり なし









重症患者
月2回診療
1人 3450 3750 4600 4900 5400 5700 5000 5300
2~9人 2835 3135 3780 4080 4500 4800 4140 4440
10人以上 1800 2100 2400 2700 2880 3180 3640 2940
月2回診療 1人 2850 3150 3800 4100 4600 4900 4200 4500
2~9人 1575 1875 2100 2400 2500 2800 2300 2600
10人以上 850 1150 1100 1400 1300 1600 1200 1500
月1回診療 1人 1710 2010 2280 2580 2760 3060 2520 2820
2~9人 945 1245 1260 1560 1500 1800 1380 1680
10人以上 510 810 660 960 780 1080 720 1020
  患者状態
診療回数
単一建物
居住者
支援診・病院以外 支援診・病院 強化型支援診・病院
病床あり 病床なし
処方せん 処方せん
あり なし あり なし あり なし あり なし












重症患者
月2回診療
1人 2450 2750 3300 3600 3900 4200 3600 3900
2~9人 2025 2325 2700 3000 3240 3540 2970 3270
10人以上 1800 2100 2400 2700 2880 3180 2640 2940
月2回診療 1人 2050 2350 2700 3000 3300 3600 3000 3300
2~9人 1125 1425 1500 1800 1800 2100 1650 1950
10人以上 850 1150 1100 1400 1300 1600 1200 1500
月1回診療 1人 1230 1530 1620 1920 1980 2280 1800 2100
2~9人 675 975 900 1200 1080 1380 990 1290
10人以上 510 810 660 960 780 1080 720 1020

※在宅時医学総合管理料に限り、保険医療機関が医学管理を行う患者数が当該建築物の戸数の10%以下の場合には、単一建物診療患者が1人であるものとみなす。

往診休日加算を新設、訪問診療料3区分→2区分に

 往診料にはこれまで休日に実施した場合の加算がなかったが、夜間加算と同点数の休日加算が新設された。
 訪問診療料では同一建物居住者以外の場合(833点)は据え置かれたが、同一建物居住者は、特定施設か否かで点数が区分されていたものが、施設にかかわらず203点に統一された。

「在宅時医学総合管理料」など改悪

 さらに、在宅時医学総合管理料(在医総管)、特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)は基本的な算定要件が改悪された。

(1)特医総管の名称を「施設入居時等医学総合管理料」(施設総管)に変更し、対象施設を拡大した。これまでの特定施設等に加え、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、認知症グループホームに入居する患者は施設総管で算定する。
(2)在宅時医学総合管理料に、「医学管理を行う患者数が建物戸数の10%以下の場合には単一建物診療患者が1人であるものとみなす」との例外規定が設けられたが、施設総管には適用しない。
(3)重症者か否か、訪問診療の回数が月1回か2回かで点数を細分化した。
(4)同一建物の考え方を単一建物(1人、2~9人、10人以上)に変更。

 減算の条件が同一建物居住者に対して同一日に訪問診療を行った場合に限定されていたものが、同一日か否かに関わらずその月に同一建物内の何人に訪問診療を行ったかによって減算されるように拡大した。

 また重症者加算も頻回訪問加算に名称変更され1,000点から600点に大幅に引き下げられた。

1,000万円を超える 減収も

 現行では、在医総管等を算定する際、月2回の訪問診療のうち1回を1人だけで訪問した場合は在医総管等の減算はされないという規定がある。
 例えば、在宅療養支援診療所がサ高住に居住する患者10人にこの方式で診療をした場合、患者一人につき訪問診療料(833点)、同一建物居住者訪問診療料(103点)と、在医総管は一人のみを管理した場合の4,200点が算定できる。

 しかし今次改定では同様の方式で診療した場合、在医総管は減算され、10人以上の場合の1,100点を算定することとなる。
「現在、二つのグループホームを訪問し、月に38人を診ているが、今次改定によって年1,400万円の減収になる」との声も会員から届いている。

 国は地域包括ケアシステム推進策として、サ高住などの集合住宅に高齢者を集約させる方針を打ち出しているが、在宅に取り組む医療機関にとっては、やはり大きな痛手だ。
 入院では一般病床の在宅復帰率の引き上げ(75%→80%)や、療養病床の在宅復帰機能強化加算の見直しが行われ、医療必要度の高い患者が在宅・施設での療養を余儀なくされる恐れがある。
 そもそも同一建物居住者の有無によって患者が受ける医学的管理が効率的になる、というものではない。
 不合理的な点数の引き下げ・複雑化は在宅に取り組む医療機関の熱意を削ぐものであり、今すぐ廃止すべきだ。

在宅専門クリニックを解禁

 医療へのフリーアクセス制を担保するため、全ての医療機関で外来応需体制が求められていたが、在宅医療を推進するため、外来を担う協力医療機関の確保などを前提に在宅医療専門医療機関の開設が認められた。
 ただし、在宅専門支援診としては20件の年間看取りや、在宅療養患者の入院外患者に占める割合が95%以上等の要件が設けられた。 これに伴い、従来の支援診は全患者の5%以上は外来診療を行う必要があるとされた。

(『東京保険医新聞』2016年2月25日号掲載)


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