統一地方選挙にあたって 石原都政を検証する

公開日 2003年04月05日

いよいよ統一地方選挙が始まりました。4月から5月にかけ全自治体のはぼ3割で選挙が行われます。地方選はひいては国政の行方を占う選挙でもあります。いま、国民生活は疲弊し切っています。一日も早く景気を回復させ、国民生活を守ることが国政でも地方政治でも最優先課題といえるでしょう。

小泉内閣が発足して2年近くなりますが景気は悪くなる一方で、被雇用者の所得は01年対比で9兆円も減り、また就業者数も01年対比50万人減で、完全失業者数は362万人、19カ月連続増加の状況となっています。不況によるリストラで失業率が上昇するなか、国民年金の滞納、未納者が激増し、また加入者が毎年100人づつ増加している国民健康保険については加入者の46・7%が無職者、国保加入者の約18%が保険料を滞納、それに伴う短期保険証や資格証明書の発行も著しく増加しています。一方、政府管掌健康保険については徐々に国の出費が減らされ、総じて、健康保険制度が崩壊するのではないかと危惧されます。こうした状況のなかで東京では都知事選がスタートしました。

今回の都知事遺は再選を狙う現職の石原氏とこれに挑戦する数名の新人という構図です。ここで、これまでの石原都政を検証してみましょう。石原慎太郎氏は随分思い切った福祉、医療の廃止、改革をやりました。

慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームヘの難病医療費助成など都の医療費助成制度の打ち切りをやり、また06年度をもって全廃を計画しているマル福だけでなく、マル障などの都単独医療費助成制度の対象者削減を引き続き進めています。ディーゼル車排気ガス規制など幾つか見るべきものはありましたが、石原氏はかねがね老人、障害者、女性や一部の外国人を蔑視する発言をしたり、揚句の果ては日本の憲法を自分は認めない、改憲すべきだなどと広言しています。

東京から発信して日本を変えるというのは、こうした政策を日本に広めるために自分がその先導役を担いたいということなのでしょうか。とてもそういう危険な人に政治をまかせるわけには行きません。

小児病院の統廃合については多摩の広範な地域で小児医療体制に空洞化が生じる懸念もあります。保健所の統廃合については三多摩格差の声も聞こえます。いまだに衰えないエイズや不気味に発生する伝染症の初期対応には保健所は都民にとってはなくてはならない身近な存在です

東京保険医協会では今度の知事選にむけて11の重点要求項目を掲げました(本紙前号3月25日号)。この中でさし迫った問題として特に強調したいのは障害者医療(マル障)の拡充、高額療養費、高額医療費の償還払い手続きの簡素化、医療費助成制度の充実などです。

都民の生活、医療、福祉の政策に重点をおく知事の登場を願ってやみません。

東京保険医新聞2003年4月5日号より