自民党総裁選に再選された小泉首相は医療改悪の源流である

公開日 2003年09月25日

小泉首相が自民党総裁に再選された。2年前に自民党をぶっ壊すといって立ち上がったが、今度も巧みな手法でそれを一歩進めた感がある。

総裁選と内閣改造、解散、次期衆参両院選挙をセットにして選択・支持を迫る戦略が効いた、とみるのが妥当だろう。人心撹乱術という方法は、よく小泉氏と類似していると言われる戦国時代の織田信長も用いたであろうか。このあたり相当にしたたかな戦法のようだ。だが結果として奇妙なねじれ現象を生み出してしまった。総裁には推したが政策には必ずしも賛成ではないという分子を身近に多く抱え込んでしまった。これからの運営が大変であろう。

小泉首相は、自分が本当は政策よりも政局の方が好きなんだ、とよく言っているそうだから、今回の「権力抗争」に勝利したことで一層の自信を深めたことだろう。

さて、次回の総選挙に向けて自民党は政策をもっとはっきり出さなければならない。周知のように郵政3事業と道路公団の民営化は氏の持論だが、デフレ克服という経済問題、金融・産業の一体再生、とりわけ重要なのは社会保障制度の再建だ。来年は五年毎に行われる年金制度の見直しの年だが、経済が良くならない限り改悪は必至だ。消費税は自分の任期中には上げないと言っていたが、任期3年間、公約を守ることが出来るだろうか。

選挙に際しては、あまり国民が信用していない選挙公約でなく、民主党が発表したようなマニフェスト(政権公約)を出すべきである。

民主党は今年の6月、医療制度改革案を出した。中身は医療供給体制、診療報酬・薬価制度、医療保険制度を大きな柱とした案で、医療へのかなり真新しい構想も盛られている。

小泉氏が考えている構造改革の中で、最も氏がやりたいと思っているもののひとつに医療改革がある。なぜなら氏は郵政大臣1回の他、厚生大臣を3回も務めた経験があるからだ。首相になった01年5月、野党議員との議論の中で「お医者さんは、頭のてっぺんから、足の先まで検査する。そして必要もないのに一遍に沢山の薬を出している」と言っいる。このような週刊誌的発想でしか医療の現場を把握していないと思われるのである。

小泉首相が厚生大臣在任の間に多くの政策が作られている。介護保険制度、あの悪名たかい健保本人2割負担導入、外来の薬剤の一部負担導入。これらを総括するような「医療抜本改革案」等々。これらの法案の源流を遡ると常にそこに小泉氏がいるという構図なのである。

これより先、小泉氏が総裁である自民党の医療政策案にはよくよく注意を払う必要があろう。

東京保険医新聞2003年9月25日号より