11都県保険医協会 関東信越厚生局と懇談(上) 指導等改善を要望

公開日 2017年04月12日

厚生局「カルテコピーは断っても、特段の不利益を課すことはない」

 懇談の冒頭、埼玉協会・青山副理事長は、法令順守の観点で個別指導が実施されるよう、信頼関係を醸成しながら今日は実りある懇談にしたいと挨拶した。厚生局医療課・河西課長は、医療保険制度の発展は国民の願いであり、保険医療の維持・発展が国民からみてどうかという視点でも考えていく必要がある、と述べた。

以下、

  • 「⇒」:協会側の改善要望書に対する関東信越厚生局の回答
  • :協会側発言
  • :厚生局側発言    

1) カルテ等のコピーを求めないこと

⇒ 被指導者の同意を得ながら実施していると理解している。当然コピーを拒否した場合も特段の不利益を課す形にもならない。現状ではコピーを求めるケースは以前に比べれば少なくなっていると思う。

協) 以前はコピーの預かり証を準備していたこともあったと聞くがそれはやり過ぎだ。コピーを取る時には断っても不利益が課されないことを明示してほしい。コピーさせないと監査に移行すると怯える人もいる。
厚) カルテのコピーは、断っても不利益を課すことはない。被指導医の同意を得た上で行っていると認識している。今の話では「不利益がない」という趣旨の説明が必要とのことなので、同意を得る場面で、必要に応じて説明をするよう周知していきたいと思う。
協) コピーを取るということは、中断をするという理解でよいか。疑わしいからコピーをとるのか、時間が足りなくてコピーを取って中断するのか。前者の場合不正を疑っているということだから、監査に移行するということか。そうなると非常に圧迫感がある。コピーを取る際には目的を伝えてほしい。
厚) 一般的な話では目的を説明するのだろうが、コピーをすることと監査に移行するかどうかは別の話。個別の事例にもよるが、単純に時間が足りず、見きれないからコピーを取る、ということはないと思う。指導の場では、説明していると理解している。
厚) 指導では基本的にはカルテのコピーは必要ないと考えるが、内容によっては被指導者に説明の上コピーをしていると理解している。以前と比べ、コピーの件数は少なくなっていると思う。
協) コピーに同意しなければ指導は終わりか。
厚) 中断か終了かはケースによる。その日の指導は終わりということだと思う。
協) カルテのコピーの件数の把握は、各事務所から厚生局に報告書のような形であげているのか。
厚) 事務所に報告を求めている項目のコメントは差し控えたい。カルテコピーの件数が減っているというのは"感覚”だ。

2) 指導日は柔軟に対応すること

⇒ 実施通知は「指導大綱関係実施要領」に基づいて1月前を目途に通知している。立会人の日程調整もあり、なかなか難しい問題ではあるが、要望は厚生労働省に伝える。

協) 通知が1カ月前になり準備に余裕は出来たが、日常診療を休診するのは患者に迷惑がかかるし、今は予約治療もある。休日、土曜午後、平日夜間を使っての指導は不可能ではないと思うがどうか。また届出をみれば医療機関の休診日がわかる。休診日に指導日を設定する配慮はしてもらえないか。
厚) 3週間前の通知では厳しいと要望があり1カ月前に通知をすることになった。確かに土日の選択肢はあるが、指導大綱では平日のみとされている。1軒1軒の休診に合わせているわけではないが、多くの医療機関が休診の曜日に指導日を設定している。

3) 高点数医療機関の繰り返し選定について

⇒ 個別指導の医療機関の選定は各事務所の選定委員会で公平・公正に選定されているものと考える。

協) 「指導大綱における保険医療機関等に対する指導の取り扱いについて」(1995.12.22付)によると、繰り返し選定される高点数の医療機関は、直近の指導が「概ね妥当」「経過観察」であれば審査支払機関にも意見を聴いた上で、高点数選定から除外できる、とある。通知の運用はどのように考えているか。
厚) お示しの通り、一定の除外が出来るという通知はあるが、実際に活用となると、審査支払機関への質問内容について特に定めがないことと、審査機関側も「個別指導の対象から除外」という観点では答えようがないのではと思う。そういうことがあってこの通知は事実上運用していない。具体的な対応方法については、厚生労働省に要望していきたいと思う。
協) 返戻、査定が多いか少ないか、問題のある請求が多いか等は審査員に聞いてもらうとある程度わかる。
協) 「5年前に『問題ない』といわれたのにまた呼ばれた」という報告が毎年会員からある。合理的に判断できる、何を確認すればよいかの基金への質問の仕方も、研究してもらい、通知を活用してほしい。
厚) そもそもの高点数個別指導のあり方もご意見があり、いろんな場面で意見を聴いている。高点数個別指導のあり方、除外規定の具体的な運用についてもご意見があったことを厚生労働省に伝えていきたい。(次号につづく)

(『東京保険医新聞』2017年4月5日号掲載)