医療・法律を理解し 適切かつ早めの対応を(世・渋)

公開日 2017年04月24日

170214_世・渋支部総会

 2月14日、世田谷・渋谷支部総会を開催し、会員ら17人が参加し、16年度支部活動報告と17年度支部活動計画を承認した。
 はじめに岩田俊副会長が今国会で70歳以上の高額療養費の引き上げや介護保険の3割負担の導入など、高齢者を狙い撃ちにした医療・介護の負担増が提案されていると報告し、格差と貧困が広がるなかで、これ以上の負担増を阻止するため、協会で取り組んでいる患者署名への協力を訴えた。
 続いて、協会に寄せられたトラブル事例について、事務局から話題提供した。
 医療機関の窓口ではさまざまなトラブルに遭遇する。例えば、「お金を払わない患者や暴力・暴言をふるう患者などの診療を断ってもいいのか」。診療は「契約(準委任契約)」であり、医師は最善の治療を行う義務、患者は医師の治療行為に協力し医療費を支払う義務を負う。未払いや指示に従わない場合は診療契約自体が成り立たないと解される。
 また、暴言や暴力は犯罪行為でもあり、医院やスタッフを守るためにもひどい場合は警察への通報も必要だと説明した。
 一方、度重なる窓口負担増により「支払えない」という患者も少なくない。補償するのは国の責務であり、医療機関が負担を負うものではない。
 経済困窮者で未収になってしまった場合は支払いやすい方法(分割、月末払い等)を提示するとともに、国保の「一部負担金の減額・免除制度」や生活保護制度を案内する他、無料低額診療事業(経済困窮者のために無料または低額で診療を行う事業。都内52医療機関が指定)の医療機関を紹介するなど、早めに対応されたいとのアドバイスがあった。
 トラブルが増加した背景には、患者の権利意識の高まりや複雑な診療報酬の仕組み、医療情報の氾濫等がある。医療側は医療制度・法律の仕組みを知り、トラブルに応じた適切な対応が求められる。
 対応に困ったときは協会・経営税務部まで相談いただきたいと訴えた。

(『東京保険医新聞』2017年4月15日号掲載)