保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【銀杏並木】桜 さくら

公開日 2017年05月08日

 花冷え、花霞、花の雲、花曇り、零れ桜、花嵐、花散らしの雨に花筏…こうした言葉を見ると、日本人は本当に桜が好きなんだなぁと思う。ふわっと淡いさくら色がけぶっているのを見ると、1本だけでも嬉しくなる。

 その桜、今年は満開になるのが遅かった。やっと咲いたと思ったら突然のゲリラ雷雨や連日の曇り空。それも、花曇りと言うよりはどんより曇天。おまけに花冷えに花散らしの雨に…と桜にはさんざんな春だったが、その花散らしの雨が降る前、曇天の1日、今年も母を桜見に連れて行った。

 毎年恒例の、播磨坂と面影橋。以前より歩みも遅く体力も落ちているので、無理はせず2時間以上かける、のんびりお散歩花見。

 足を止め、満開の桜に目を細め、ゆっくりゆっくり歩く母は、短期記憶が聊か…ゆえ今年も「こんなの初めて!」…いやいや、もう10年以上毎年来ているからとは言わず、「それはよかった」と軽く返すこと5分ごと複数回。来年もまた言うんだろうなぁと思いながら、桜の花の散る散らないの見分け方を今年も教える。

 花の中心が白いものはまだ散らない桜、中心が紅くなっているのはもうすぐ散る桜、という話。母はすぐ忘れるが、覚えている私は満開の桜に「わー綺麗ねー」の一方で「これは白、これは紅」…つい目が花の中心をチェックしてしまう。

 雑学が雑念を呼び、無心に花を愛でることができないのは、ちと問題かと思いつつ、来年も「こんなの初めて!」な桜見ができたらいいなと願う。(音子海流)

(『東京保険医新聞』2017年4月25日号掲載)

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