保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

〔文京区宛て〕MRワクチン未接種児へのフォローアップに関する陳情

公開日 2017年05月19日

提出年月日 2017年5月19日

文京区議会議長
 白石 英行 様

東京保険医協会
会長 鶴田 幸男

 日頃より区政運営にご尽力いただいていることに敬意を表します。
 私たちは東京都内に開業・勤務する5,500人の医師でつくる団体です。
 文京区が現在、麻しん・風しん混合ワクチンの未接種児に対して実施している任意接種助成制度に関して、下記の内容を要望いたします。

陳情事項

  1. 文京区が実施している麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)任意接種費用の助成制度について、下記のとおり取り扱い見直しを求めます。
  改正案 現行
対象者 2歳から20歳未満で、定期接種が未接種(ただし定期接種対象者を除く)、かつ麻しんまたは風しんにかかったことのない文京区民の方

①MR1期接種もれ:満24か月以上、MR2期接種期間初日の前日まで
②MR2期接種もれ:MR2期接種期間最終日の翌日から12歳となる日の属する年度の末日まで
③MR2回目接種もれ:13歳となる日の属する年度の初日から20歳の誕生日の前日まで

助成回数 未接種回数分(最大2回) 期間ごと、対象となる方に1回

陳情理由

文京区におけるMRワクチン接種漏れ児対策の現状と課題

 麻しん・風しん混合ワクチン(以下、MRワクチン)は現在、「満1歳からの1年間」を第1期、「小学校入学前の1年間(年長児)」を第2期として、公費負担の定期接種に位置づけられています。

 やむを得ず期間中に打てなかった場合、予防接種費用は任意接種として原則自己負担(8,000円~11,000円前後)となりますが、文京区では未接種児に対する任意接種助成制度が実施されており、無料で打つことができます。取り扱いは以下のとおりで、❶1期接種もれ期間(2歳~2期接種前)、❷2期接種もれ期間(小学1年~6年)、❸2回目接種もれ期間(中学1年~19歳)の3区分とし、「それぞれの期間内に対象者が1回のみ接種できる」ことになっています。

 2016年度は9月までの半期で51人の区民が利用しました(資料1)。

図 文京区における対象者の取り扱い(区ホームページより)​
図 文京区における対象者の取り扱い(区ホームページより)

 この制度を実施している22区のうち、対象年齢を19歳までとしている区は文京区と目黒区のみで、一見、充実しているように見えますが、残念ながら文京区の制度では不十分な点があります。それは、この❶~❸の年齢区分です。

 文京区の制度では、例えば❷の①で、「小学校1年の時点で1度も接種したことのない子」が任意接種を希望した場合、❷の期間内で1回分の補助しか受けることができません。

 また、同様に③「小学校1年の時点で1期接種漏れが発覚した子」も、❷の対象者が2期漏れに限定されているため、1期漏れは助成対象外ということになります。

 文京区には❸の期間があるため、中学1年生まで待てば追加の助成を受けることができますが、わざわざそこまで待つ状況は現実的ではありません。また、❸の期間に1度も接種していない子が出てきた場合、その子は1回分しか助成が受けられず、2回目(④-B)は自己負担となります。

 このたび協会が行った調査で、MRワクチン任意接種助成制度は区によって取り扱いが異なること(資料2)、文京区の取り扱いが他区に比べて条件の厳しい傾向にあることが判明しました(資料3-1、3-2)。

 目黒区、千代田区、新宿区、2017年度から足立区・板橋区を含む16区については、「対象年齢かつ定期接種対象外で未接種だった場合、未接種回数分(最大2回)を助成する」としています。小学校1年で1度も接種していなかった場合は2回、2期は打ったが1期を打っていなかった場合は1回、特に制限なく助成を受けることができるのです。

 貴区の取り扱いは、過去の3期・4期対策を念頭につくられたのではないかと推察しますが、年齢区分のあり方について、適切な見直しが行われているのでしょうか。

麻しん・風しん対策強化に向けて、現行制度の拡充を

 文京区の2015年度MRワクチン定期接種率は1期101.7%(都平均97.3%、全国平均96.2%)、2期92.0%(都平均89.8%、全国平均92.9%)でした(資料4)。特に1期は「未接種者0人」であり、貴区の日頃からの積極的な接種勧奨の取り組みに敬意を表します。

 とりわけ昨今の文京区は人気エリアであり人口流動も激しく、2歳以降の転入者から1期未接種の子どもが出ないとも限りません。

 昨年関西空港や首都圏を中心に流行した麻しんは、今年に入っても三重県や山形県で集団感染の報告が相次ぎました。風しんは5~7年が流行周期といわれ、東京オリンピック・パラリンピックの2020年に流行する可能性も予想されます(前回流行は2013年頃)(資料5、6)。今後、東京オリンピックに向けて、海外からさらに多くの人々が来訪すれば、麻しん・風しんなどの感染のリスクが高まることでしょう。

 今こそ、麻しん・風しん対策を強化すべきではないでしょうか。

 文京区よりも厳しい制限があった足立区では、区議会で検討の結果、2017年度から制度を大幅に拡充させました(資料7)。仮に文京区で同様に取り扱いを変更したとしても、貴区における現時点の対象者はほぼ0であり、特段の予算措置は必要ありません。任意接種予診票の取り扱いが簡素化されれば、医療機関、医師会、区の実務も省力化できる可能性もあります。

 ぜひ文京区でも、対象者区分を撤廃し、すべての子どもたちが最大2回の接種機会を確保できる制度へと変更いただくことを希望します。

 子どもたちの命と健康を守る取り組みとして、ご検討の程、よろしくお願い申し上げます。

以上

〔文京区宛て〕MRワクチン未接種児へのフォローアップに関する陳情[PDF:3MB]

参考資料

・資料1 平成28年度 麻しん・風しん予防接種事業実施状況(区市町村別)(9月末時点実績)(平成28年度第2回東京都麻しん・風しん対策会議資料(平成29年1月31日)より)
・資料2・3 東京保険医協会調べ「MRワクチン未接種者に対する任意助成制度の状況(23区・2016年度)」
・資料4 2015年度23区におけるMRワクチン接種率・未接種者数(第1期・第2期)
・資料5 国立感染症研究所感染症発生動向調査(IDWR)より/麻しん・風しん累積報告数の推移 2011~2017年
・資料6 山形県の麻疹感染、新たに三重県でも患者(日経メディカル2017年3月22日)
・資料7 『東京保険医新聞』2017年3月25日号「MRワクチン任意接種助成足立区・板橋区が拡充・新設協会の働きかけ実を結ぶ」

※参考資料は要望書PDF版をご覧ください。

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