【緊急要請】組織犯罪処罰法改正案(通称:共謀罪法案)の廃案を求めます

公開日 2017年06月15日

2017年6月14日

東京保険医協会 会長 鶴田 幸男

政府は国会審議を通じ、「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するために組織犯罪処罰法改正案(通称:共謀罪法案)が必要だ」との説明を繰り返してきました。

しかし、国連のTOC条約の立法指針を執筆したニコス・パッサス氏が、東京新聞の取材に対し「条約はテロ防止を目的としたものではない。テロは対象から除外されている」と明言し、その理由を「非民主的な国家では、政府への批判をテロとみなす傾向がある」と説明しました。さらに「新たな法案などの導入を正当化するために条約を利用してはならない。条約はプライバシーの侵害につながるような捜査手法の導入を求めていない」と指摘しました。また同氏は「イギリスは長年TOC条約のメンバーだが、条約を締結するだけでは(6月3日にロンドン中心部で起きたような)テロの防止にはならない」とも述べています。国連の立法指針執筆者の発言によって、政府の主張する立法根拠が偽りであることが裏づけられました。

5月18日には、国連人権委員会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が、安倍晋三首相宛ての公開書簡で、共謀罪法案はプライバシーや表現の自由を制約する恐れがあると指摘しました。続いて6月12日には、国連人権理事会の特別報告者デービッド・ケイ氏が同理事会で演説し、「政府当局者がメディアに及ぼし得る直接・間接の圧力」に加え、特定秘密保護法や教科書検定、沖縄の抗議行動に加えられている圧力について懸念を表明しました。

国内だけでなく複数の国連関係者から、憲法第21条が保障する「表現・言論の自由」、「集会・結社の自由」が脅かされるとの指摘が相次いでいることは重大です。政府はこれらの懸念を払拭する明瞭な説明を国民に行っていません。参議院法務委員会での法案採決を省略するなど言語道断であり、今国会での共謀罪法案の廃案を強く求めます。

 

 

一、    組織犯罪処罰法改正案(通称:共謀罪法案)を廃案にすること

以上

【緊急要請】170614共謀罪緊急要請[PDF:91KB]