保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

中央講習会「認知症患者さんと運転免許」

公開日 2017年07月13日

170626_道交法改正と認知症疑い患者の診断

6月26日、協会研究部は中央講習会「道交法改正に伴う、かかりつけ医による認知症疑い患者の診断に向けて」を開催、42人が参加した。

まず、東京大学大学院医学系研究科加齢医学の小川純人准教授から、高齢者に占める認知症率と交通事故に占める高齢者率が増加している。アルツハイマー型、レビー小体型、血管性、前頭側頭型、その他(2次性)の各認知症の特徴と診断、長谷川式、MMSE認知機能検査の留意点、生活歴や普段の様子等ふまえての診断を強調された。また関連5学会から出された「認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のためのQ&A」《日本神経学会HP》が、かかりつけ医にとっても大変役立つので参照することを勧められた。

協会保険医サポートセンター所属の江東総合法律事務所の田辺幸雄弁護士は、かかりつけ医が、かかりつけの患者を「認知症」または「認知症でない」と診断することへの法的な考え方を述べられ、認知症と判断して運転免許の取り消しなどを行うのは公安委員会であり、診断書作成医師に法的責任が及ぶことは通常想定できないが、民法上の責任などについては個々のケースで異なるとのお話であった。

講演後には参加者からかかりつけ医が診断すべき患者さんの範囲、治療中なのに認知症の認識のない患者さん・予防的な抗認知症薬の投与のケースでの診断などの質問があり、日医作成「かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」《日医HP》や、上記専門医のためのQ&Aも良く読んで対応頂きたいとの回答があった。他に脳卒中など認知症以外の病名による運転不適格の診断書作成依頼が警察から来ることがあるとの情報提供や、患者さんの態度・様子によって公安委員会向けと異なる診断書を渡すことはできないとの回答があった。

また、そもそも認知症を理由に高齢者の運転免許を更新しないことは権利の剥奪につながらないかとの指摘や、認知機能ではなく、運転能力による判定が望ましいとの専門学会の提言などが紹介され、実り多い会となった。

「認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のための Q&A 」について

当日ご講演いただいた小川純人先生から「認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のための Q&A 」をご紹介いただきました。
関連5学会〈日本神経学会、日本神経治療学会、日本認知症学会、日本老年医学会、日本老年精神医学会〉から出されたもので、【日本神経学会ホームページ】からご覧いただけます(外部のウェブサイトに移動します)。

170314_認知症高齢者の自動車運転に関する専門医のためのQ&A集

(『東京保険医新聞』2017年7月15日号掲載)