【シリーズ・対都請願の論点②】 風しん対策の拡充―成人男性への助成復活を

公開日 2017年10月06日

風しん対策では、2012年から2013年の大規模な風しん流行を受けて、東京都が2017年度も継続する“成人女性”へのMRワクチン接種費用助成の拡充を協会は求めている。東京都は国の特定感染症指針にもとづき、19歳以上の妊娠を希望・予定する低抗体価の女性を対象に区市町村が行う接種費用の助成事業の1/2を補助している。しかし、“成人男性”への補助は2013年9月末で打ち切られているため、以降も同居家族や配偶者等に対して助成を実施する自治体は、独自の財源負担で制度を継続している(2017年度は12区のみ、三多摩地域は無し)。

和泉なおみ都議は昨年11月の都議会厚生委員会でこの問題を取り上げ、東京都側は「国民の8~9割程度が(風しんの自然罹患等により)既に風しん抗体を有している」と答弁していたが、一方で2015年9月に東京都が発表した調査結果では、19歳以上で43.8%、20歳代で36.9%、30歳代で27.6%、40歳以上では32.2%もの都民が、抗体検査を受けた結果、十分な抗体を有していなかったことが明らかとなっている(表)。

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先の流行では、罹患した患者の7割が男性、このうち20代から40代が8割を占めた。また全国で45人(東京16人)の先天性風しん症候群(CRS)児が出生し、このうち国立感染症研究所の追跡調査で7例が生後5カ月までに死亡していることも分かっている。

麻しんと同様に流行そのものを無くす対策が必要で、協会では今後も東京都および区市町村への働きかけを行っていく。

(『東京保険医新聞』2017年9月25日号掲載)