会員緊急アンケートを実施 日脳ワクチン6割が「足りない」

公開日 2017年10月23日

ワクチン供給体制の確立を

協会会員から「日本脳炎ワクチンが入荷しない」との声が複数寄せられたことを受け、協会地域医療部は、9月8日から会員(小児科、内科等)への「予防接種に関する緊急アンケート」を実施し、9月22日までに都内432件の医療機関から回答を得ることができた(回収率12.34%)。
日本脳炎ワクチンは2016年春頃から供給が不安定になり、2016年4月に発生した熊本地震をきっかけに、2種類のワクチンのうち、「エンセバック」(製造:化学及血清療法研究所/通称:化血研)の供給が停止されている。
集計の結果、小児科の67%、内科の54%が「日本脳炎ワクチンが足りない」と回答した(図1参照)。

図1_日本脳炎ワクチンの在庫(全体)

「ワクチン不足のために子どもの定期接種が期間内に打ち終わらない可能性がある」との回答は47%で約半数にのぼった(図2参照)。

図2_定期接種の期間内に打ち終わらない可能性(全体)

定期接種期間内に打ち終わらない子どもを発生させないため、年度末に向けて対策を講じる必要がある。

7割の医療機関 例年通り接種できず

日本脳炎ワクチン接種希望者への対応では、「全面的に対応不可能」14%、「ふだん診ている患者を優先し、新規希望者は断っている」15%、「1回目を優先して2回目を待たせている」10%などが続いた。何らかの問題を抱えている医療機関は7割に及び、「例年通り接種できている」は31%にとどまった(図3参照)。

図3_日本脳炎ワクチン接種希望者への対応(複数回答:件数)

MRワクチン 今なお2割が不足

アンケートではMR(麻しん・風しん)ワクチン、B型肝炎ワクチンについても供給状況を聞いた。MRでは21%が、B型肝炎では12%が「足りない」と回答した。MRワクチンについては2割が不足状態にあり、今なお供給体制が不十分であることが明らかになった。

繰り返されるワクチン不足 抜本的な改善を

都内では日本脳炎、MR、B型肝炎などのワクチン供給不足が毎年発生し、定期接種の実施すら困難な状況が続き、混乱が繰り返されている。協会は国に対して、ワクチン不足の現状を正確に調査・把握するとともに、各自治体、製薬メーカー、卸業者まかせの「脆弱なワクチン供給体制」の抜本的な改善を求めていく。

(『東京保険医新聞』2017年10月15日号掲載)

PDFデータ

【別紙】日本脳炎ワクチン不足結果概要(東京保険医新聞2017年10月15日号1面掲載)[PDF:295KB]

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