【シリーズ・対都請願の論点④】警視庁運転免許本部と懇談 障害者の移動格差解消を求める

公開日 2017年10月23日

170920_警視庁との懇談

協会は9月20日、品川区にある鮫洲運転免許試験場を訪れ、警視庁運転免許本部運転者教育課長の箕輪氏と懇談。都内の指定自動車教習所における障害者受け入れ体制の現状について情報交換し、障害者の移動格差解消を改めて要請した。

既報の通り、9月7日に実施した都福祉保健局との懇談のなかで、下肢障害者が運転免許を取得するために必要な手動式アクセルブレーキ等の“取り付け部品”の普及を都内自動車免許教習所においても進め、障害者の移動格差解消に取り組むよう要請した。

その際、警視庁の担当者から「春と秋の全国交通安全運動の際に各教習所の管理者を招いている。そういった機会を通じて継続的に周知を進めていきたい」との前向きな回答を得たことを受け、今回の懇談は実現した。

細田悟理事は「“身体障害者の教習に使用できる車両や取り付け部品についても整備を促すこと”と規定された警察庁の通達は都内教習所ではまだ浸透していない。例えば交通安全運動の時期にアクセルブレーキの取り付けのデモンストレーションを行うなどすれば普及に役立つのではないか」と提案した。

箕輪課長は通達が自動車教習所の管理者まで十分に浸透していないことを認めたうえで「管理者が集まる会議で“取り付け部品”は安価に購入でき、着脱できると導入を促してはいるが、写真などのビジュアルに訴えるものを用意するのは良いアイデアだ。自動車教習所には障害者差別解消法第5条により、社会的バリア除去について努力義務があるという点も踏まえて普及に努めたい」と応じた。

“取り付け部品”は障害等級2級以上の方なら改造費や購入費用の補助を受けられるものの、所得制限があることや、障害者自らが自動車を所有していることが前提となっている。特に自前で自動車を用意しなければならないことは免許取得の際の大きなバリアとなっている。他方で“取り付け部品”は通常の教習車においても着脱可能であり、自動車教習所でも10万円程度で購入可能だ。

170920_アクセルブレーキ実装車

協会では引き続き、都内教習所における“取り付け部品”の普及を進め、障害者を積極的に受け入れる体制を求めて様々な機会を利用し働きかけを行っていく。

(『東京保険医新聞』2017年10月15日号掲載)