【銀杏並木】森友・加計学園問題は終わってはいない

公開日 2017年11月10日

gra_gingkobi

号が届く頃には衆議院選挙が終わり、新しい首相が誕生しているかもしれない。原稿執筆時点ではまだ安倍首相なので一応括弧つきで登場願うこととする。

回の解散は小生には、「森友・加計学園問題疑惑逃れ解散」としか思えない。この問題の要は、行政を捻じ曲げて、一方は約8億円、もう一方は約100億円をお友達に対して国民の税金から供与したのではないかという疑惑である。

国の首相ともあろうお方がこんなとんでもない事件に関わっていたかどうか、徹底的な解明が必要なことは誰の眼にも明らかである。だが、安倍「首相」は解明の場となる国会の開会を6月から3カ月も引き伸ばし、閉会中の委員会で何回かは答弁したが、不十分で、その結果国民の疑惑はますます深まり、支持率もどんどん下がって30%台まで落ち込んでいた。

ころがここにきて、北朝鮮のミサイル発射、核実験に加え、民進党幹事長候補のスキャンダルを奇貨として急遽解散に踏み切ったのである。安倍「首相」としては、この解散・総選挙で惨敗しない限り、この問題の禊は済んだことにできるとの思惑があるのだろう。安倍「首相」この選挙を国難突破選挙と名づけたが、本当のところは、自難突破選挙が妥当であろう。

かし、選挙後どのような勢力地図になっていても、この問題の解明をしないままでは日本の将来に重大な禍根を残すことになる。お友達に利益誘導を行う首相、財務省などの行政を捻じ曲げるほどの権力を首相が持っているという事実、しかもそれは国民すべてに公平に仕えなければならないはずの国家公務員の組織の腐敗にも通じるということ。

治のあり方の根底に関わる問題をおろそかにするような政府に、われわれ国民は日本の未来を託すことはできない。北朝鮮問題の緊迫化、改憲問題など日本の行く末を左右する大問題が山積みの今こそ、まずこの疑惑をしっかり解明する必要がある。

の党が政権をとっても、誰が首相になっても、たとえ安倍「首相」が続投することになったとしても、野党、与党を問わず、全力を傾けこの問題の解明にあたるべきである。(銀狸)

(『東京保険医新聞』2017年10月25日号掲載)

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