理事会声明「2018年度診療報酬改定のプラス改定を求める声明」

公開日 2017年11月11日

理事会声明

2018年度診療報酬改定のプラス改定を求める声明

2017年11月11日 東京保険医協会第8回理事会

財務省は10月25日に開催した財政制度等審議会において、2018年度診療報酬改定について薬価なども含めた全体で「2%以上」のマイナス改定を、さらに診療報酬本体についても「一定程度」のマイナス改定にすべきだと主張した。また、「診療報酬本体は、賃金や物価の水準と比べて高い水準になっている」「診療報酬本体の改定率が一定程度マイナスであっても、診療行為の増加で診療報酬総額は増えるため、医療機関の増収は確保される」と主張している。これを受けて、11月9日付朝日新聞は1面で政府は2018年度診療報酬改定について、全体での改定率をマイナスにする方針を固めたと報道した。

しかし、これは医療機関の経営実態を全く踏まえていない主張だと指摘せざるを得ない。厚生労働省が11月8日に公表した「第21回医療経済実態調査」では、2015年度、2016年度の損益状況を比較すると一般病院全体ではマイナス3.7%からマイナス4.2%と、0.5%悪化している。マイナス4.2%は、調査開始以来3番目に低い数字であり、赤字傾向は明らかである。財務省が要求するようなマイナス改定を実施すれば、現在でも深刻な医療機関の経営難に追い打ちをかけることになる。

仮に2018年度も全体がマイナス改定となった場合、実に3回連続のマイナス改定となる。診療報酬のマイナス改定が続けば、医療現場が一層疲弊し、患者・国民の命や健康を守ることが出来ない。医師・歯科医師をはじめとする医療従事者による医療行為を正当に評価するとともに、診療所や病院それぞれの医療機関の経営を支える診療報酬の引き上げは必要不可欠だと私たちは考える。特に、基本診療料は医師の診療や簡単な処置・検査ならびに従業員の人件費や設備費を含んだ点数であり、正に医療機関の原資であるが、この間の診療報酬改定では引き上げが実現されていない。診療報酬は2002年以降マイナス改定が続き、計10%まで引き下げられた。連続した診療報酬の引き下げが「医療崩壊」と言われる状況を引き起こしたのは周知の事実である。その同じ轍を2度と踏んではならない。

以上により、2018年度診療報酬改定では、基本診療料を中心とした診療報酬全体を抜本的に引き上げることを強く要望するものである。

以上

▽PDF版
【理事会声明】プラス改定を求める要望書(171111)[PDF:115KB]