【主張】諦めなければ道は開ける

公開日 2017年12月27日

2017年は初頭から、辺野古では新基地建設に抗議する人を機動隊員が「土人」と罵り力づくで排除し、そのリーダーが長期間勾留された。国会では「共謀罪」が強行採決され、南スーダンの自衛隊基地への着弾があったという現地報告を隠しつづけた大臣もいた。また、現政権は戦略特区をつくって、知人に利益誘導し、その行政文書を隠す「森友、加計問題」事件を起こしている。

うした動きに対する国民の反応の今年の特徴は、政治的な考え方、主義主張のちがいとして「あきらめ」なかったことにあるように見える。

務次官という国家公務員のトップが事実を語り、それまで「右派」と目されていた法律学者がこぞって声をあげ、沖縄では「オール沖縄」が強固に続いている。党派にこだわらない、多様な人々の声が、結果を求めて結びつく模索を始めている。

京保険医協会は年頭に「民主主義とは何だろうか。多様な意見の存在を許し、国家の資源として活かすとき、誰も犠牲にしない社会がつくられるだろう」と共謀罪強行採決に対して表明し、その姿勢を一年間貫けたように思う。

ども医療費の三多摩格差、ワクチンへの助成や不足問題、医療安全を実現するための医療事故調査制度の確立を求めて等々、幅ひろい人々の力を集約してくることができた。

在、政府は医療費を削減するため、財務省が「2%以上」の減額を主張し、診療報酬改定において「本体」について「一定程度」のマイナス改定にすべきだとしている。

療報酬は2002年以降のマイナス改定で計10%まで引き下げられ、その結果が「医療崩壊」と言われる状況を引き起こしたのは周知の事実である。医療費の高騰は国民の高齢化が主要な要因でなく、高額な薬剤費に起因していることが様々な資料から明らかになっている。高薬価構造の是正こそが焦眉の課題なのだ。

京保険医協会は、来年から国民の健康、保険医療を守る分野において、一般社団法人としての活動ができるようになった。国民一人ひとりの「健康に生活する権利」が奪われようとしている事態を打開する道は、幅ひろい医療関係者が協同して、患者や地域の人々とともに力を合わせることによってみつけださなくてはいけない。あきらめなければ必ず道は開ける。

(『東京保険医新聞』2017年12月25日号掲載)

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