「特別徴収額の決定・変更通知書」個人番号は記載なし

公開日 2018年01月31日

区市町村から各事業所に送付する住民税特別徴収(注)の「給与所得等に係る市町村民税特別徴収税額の決定・変更通知書」(以下、「通知書」)について、総務省は2017年度分からマイナンバー(個人番号)欄を一方的に追加し従業員のマイナンバーを記載して送付するよう各自治体に指示していたが、このほどこの方針を転換、記載不要とした。

180125_01_特別徴収通知書、書式

協会は、「通知書」へのマイナンバー記載について、特別徴収義務者(事業者)にマイナンバー管理の重い負担を負わせ経営を圧迫する、情報漏えいリスクが高まり自治体のコストも増える等の理由から断固反対を表明。2017年2月と5月、都内62自治体に対し、マイナンバーの記載中止を求める陳情書を送付した。その結果、都内自治体の9割近くがマイナンバーを記載しないこととなった。しかし全国での情報漏えいは深刻で、104自治体688人分(※)のマイナンバー付きの個人情報が誤送付される事態となっている(※2017年10月31日時点、「共通番号いらないネット」HP(外部リンクに移動します)から)。

こうしたなか、2018年度与党税制大綱で「通知書」を書面で送付する場合は、「当面マイナンバーの記載は行わない」ことが盛り込まれた。これを受け総務省は、マイナンバー記載方針を転換。2017年12月15日に「事務連絡」を、さらに26日には省令第83号(地方税法施行規則の一部を改正する省令)を発出し、「通知書」を書面により送付する場合には、「当面、個人番号の記載を行わない」こととした。これは、われわれの運動の大きな成果といえる。

しかし、電子的に送付する場合(eLTAX・光ディスク等)は、依然としてマイナンバーを記載することとされた他、「通知書」自体にマイナンバー記載欄は残されたままとなっている。協会は、引き続きマイナンバー記載欄そのものの削除を求めていく。

(注)「住民税特別徴収」・・・事業者が従業員の住民税を給与から天引きし、毎月、従業員の自治体毎に納付する制度。特別徴収すると毎年5月に従業員の住民税額を知らせるマイナンバー欄付きの「通知書」が事業者に送付される。一方、天引きによらず納税者本人が納付する方法を普通徴収という。

(『東京保険医新聞』2018年1月25日号掲載)