【解説】経過措置は2017年12月末まで!難病医療費助成制度が2018年1月から一部変更しました

公開日 2018年02月02日

2015年1月から施行された難病・小児難病患者に対する医療費助成制度の経過措置(3年間)が終了することに伴い、2018年1月からすべての患者について法律の本則に基づく運用が始まった(表1)。医療機関の窓口会計等に関わる点を、成人の難病(法別番号54・83)を中心に解説する。

表1  1月からの主な変更点(成人・小児の難病医療費助成制度)
  難病(法別54・83) 小児慢性(法別52)
根拠法 難病の患者に対する医療等に関する法律 児童福祉法
重症度分類 診断基準 + 
疾病ごとに定められた「重症度分類」に該当する患者のみ認定
診断基準のみ
入院時の
食事負担
公費対象外   1/2を助成
 軽症かつ
高額(※1)
「重症度分類」を満たさない場合でも、要件(※1)に該当する場合は認定 
重症認定 (2017年12月末で廃止) 2018年1月以降も継続(※2)
人工呼吸等
装着患者
2018年1月以降も継続 
 高額かつ
長期 (※3)
認定者のうち、要件に該当する場合は月額の自己負担上限額を一部軽減(上位および一般所得者のみ) 認定児のうち、要件に該当する場合は月額の自己負担上限額を一部軽減

※1 「軽症かつ高額」… 疾病ごとの認定基準となる「重症度分類」は満たさないが、認定申請月から起算して直近12月において、指定難病に関する医療費・介護サービス費の総額10割が「33,330円」を超える月が「3回以上」ある場合。

※2 小児難病「重症認定」… 肢体など身体に一定の障害が長期間(概ね6カ月以上)継続する、または疾患ごとに一定の状態(ex. 慢性呼吸器疾患なら気管切開管理または挿管を行っている)のいずれかに該当する児

※3 「高額かつ長期」… 認定者・児のうち、認定申請月から起算して直近12月において、指定難病に関する医療費・介護サービス費の総額10割が「50,000円」を超える月が「6回以上」ある場合。

月額の自己負担上限額の変更に注意

経過措置の終了で、2017年12月末までの月額自己負担上限額と、2018年1月以降で金額が異なる患者が出てくる(表2、3)。両制度ともに、生活保護世帯のほか低所得Ⅰと低所得Ⅱの患者は概ね月の上限額に変更はなく、入院時の食事代のみ負担が増える。一方、上位・一般所得の患者は最大で4倍程度に跳ね上がる可能性がある。

表2  難病医療費助成制度(法別番号54・83)の月額自己負担上限額
2017年12月末まで(経過措置) 2018年1月以降(本則)
階層区分 一般 旧事業 重症患者 一般 高額かつ長期
      人工呼吸器等装着患者     人工呼吸器等装着患者
上位 20000 5000 1000 30000 20000 1000
一般Ⅱ 10000 20000 10000
一般Ⅰ 5000 10000 5000
低所得Ⅱ 5000 2500 5000 5000
低所得Ⅰ 2500 2500 2500 2500
生活保護 0 0 0 0 0 0
入院食費 1/2 公費助成 公費対象外(患者負担)
表3  小児の難病医療費助成制度(法別番号52)の月額自己負担上限額
2017年12月末まで(経過措置) 2018年1月以降(本則)
階層区分 一般   一般  
      人工呼吸器等装着患者     人工呼吸器等装着患者
上位 10000 2500 1000 15000 10000 500
一般Ⅱ 5000 2500 10000 5000
一般Ⅰ 2500 2500 5000 2500
低所得Ⅱ 2500 1250 2500 2500
低所得Ⅰ 1250 1250 1250 1250
生活保護 0 0 0 0 0 0
入院食費 全額 公費助成 1/2 公費助成

「重症度分類」と「軽症かつ高額」

月額自己負担上限の変更のほかに、医療機関が知っておきたい新しい制度上の概念が「軽症かつ高額」と「高額かつ長期」の2つだ(表4、5)。

表4

180125_04_gra4認定・更新に際してのフローチャート

特に「軽症かつ高額」は成人難病にのみ導入され、患者が認定・更新申請をする際に重要となる。旧制度で「パーキンソン病」や「網膜色素変性症」など一部の疾病で運用されていた各重症度分類が、2015年1月以降はすべての認定疾病に導入された。このため、診断基準は満たすものの、該当の重症度分類に届かない患者は認定が受けられない。2015年に法改正が検討された際に、難病の患者団体などを中心に“軽症者の切り捨て”と批判があがったのはこのためだ。

そこで導入したのが「軽症かつ高額」で、認定・更新申請の時点では該当の重症度分類に達しないものの、申請月の直近12月において、指定難病に関する医療費・介護サービス費の総額10割が「33,330円(2割負担で6,670円目安)」を超える月が3回以上あった場合は、申請のうえ認定が受けられる。

申請時に、過去の自己負担上限額管理票のコピーを添付するか、紛失等でコピーの添付が困難な場合は、指定の用紙に医療機関で証明を受けて提出する。

表5

180125_04_gra5重症度分類と認定のイメージ例(パーキンソン病)

再申請は6月末まで、7月1日以降は「新規申請」の扱いに

東京都は、1月以降も引き続き認定の対象となった患者に対して、昨年末に受給者証等を送付している。前述の重症度分類等に達しなかったため更新が受けられず「非認定」とされた患者の取り扱いについても注意が必要だ。

1月以降に「非認定」とされた患者の場合、12月末まで有効な受給者証を交付された際に、あわせてその旨の通知を受けている。そのため、今回あらためて期限を迎えるに際して特段の通知等は行われていない。

しかし、前述の「軽症かつ高額」等に該当し、2018年6月末までに必要書類を添付のうえ再申請をすれば“更新”扱いとして引き続き認定が受けられる。

一方、再申請が2018年7月以降になると“新規申請”の扱いとなり、新規用の臨床調査個人票とともに、あらためて精密検査等を受ける必要も生じるため、患者やその家族に注意喚起をしたい。

月額自己負担上限額の管理票は捨てないで

小児難病についてはかろうじて「重症認定」の制度は存続するが、成人難病では患者の病状に応じた制度上の配慮は、実質的に「人工呼吸器等の装着患者」の要件のみとなる。

前述の「軽症かつ高額」や「高額かつ長期」は、患者が自ら申請をしないと認定が受けられないため、その要件に該当していても、管理票のコピーがなく医療機関で証明を受けることを躊躇すると、「非認定」になったり、一般の月額自己負担上限額を支払うことになる。

2015年1月からの難病新法により、現在のように医療機関・薬局などの窓口会計を合算する制度となった。過去の管理票を紛失した場合、再度個々に証明を受けるには大変な労力を要する。過去の管理票の保管を、受給者証を持って窓口に来院する患者・家族などにいまいちど呼びかけてほしい。

(『東京保険医新聞』2018年1月25日号掲載)