保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

東京都医療計画「原案」―2023年までに慢性期9500床を削減

公開日 2018年02月09日

医療費適正化計画と連動

本年4月は、医療・介護同時改定に加えて第7期東京都保健医療計画(以下、医療計画)と第3期東京都医療費適正化計画(以下、適正化計画)がスタートする。

両計画の期間は6年間(2018~2023年度)で、医療計画は「地域医療構想」や「基準病床数」の動向、適正化計画は2023年に向けて、東京都がどの程度の医療費“適正化”を見込むのかが注目されている。いずれもパブリックコメント等を経て、3月に取りまとめられる。

次期医療計画は、東京都が昨年7月に策定した「地域医療構想」との一体化に加えて、従来の5疾病5事業などのほかに新たに「フレイル・ロコモティブシンドロームの予防」や「COPD(慢性閉塞性肺疾患)の予防」、「外国人医療」などの記述が新設される。

注目すべきは、医療計画「原案」に、地域医療構想策定部会等でのみ示されていた2013年と2025年の病床数の比較表が明記されたことだ(表1)。

表1 2025年の必要病床数と2013年の比較
(医療計画原案)単位:床
  2013年   2025年 増減
高度急性期 13,889 15,888 1,999
急性期 34,375 42,275 7,900
回復期 26,812 34,628 7,816
慢性期 30,421 20,973 ▲9,448
105,497 113,764 8,267

全体で約8,200床増、「慢性期」病床は▲9,448床という推計がそのまま盛り込まれた。主に療養病床に入院している“医療区分”の低い患者の70%を在宅に移行させることが前提のため、大幅な病床削減となっている。一方、「適正化計画」では、病床機能の分化・連携の成果をふまえた“医療費適正化”を行うため、2つの計画の整合性を図るとしている。

「適正化計画」は、「東京都」「保険者」「医療の担い手」「区市町村」「都民」それぞれに役割を設け、いっそうの医療費の“削減”を目指すものだ。

外来医療費は608億円削減

東京都の資料によると、都民の医療費がこのまま推移した場合、2023年には5兆5,779億円(入院・入院外計)になるところ、「医療費適正化」に取り組むことにより、5兆5,171億円(▲608億円)に圧縮できると推計(表2)。この▲608億円は入院外の医療費のみであり、その内訳は、①特定健診等の実施率向上で▲17億円、②後発医薬品の使用促進で▲434億円、③全国の地域差縮減として、糖尿病の重症化予防で▲99億円、重複投薬の適正化で▲1億円、複数医薬品の適正化で▲57億円となっている。

さらに病床機能の再編で、入院医療費を1兆9,346億円に押さえることが可能と見込んでいる。

表2 「医療費適正化計画推計ツール」による医療費の見込み
  2015年度(実績) 2023年度見込み
医療費 全体 4兆1,433億円 5兆5,171億円
入院 1兆3,764億円 1兆9,346億円 病床機能の分化・連携の成果を踏まえ算出
入院外 2兆7,669億円 3兆5,824億円 医療費適正化の効果額を反映(▲608億円)

都道府県主導の“医療費適正化

適正化計画「原案」には「本計画は、関連計画である『東京都健康推進プラン21』『東京都保健医療計画』『東京都高齢者保健福祉計画』及び『東京都国民健康保険運営方針』における取組と調和・整合を図っていく」とある。これは、東京都の医療・介護・健康づくりの各計画が、医療費適正化計画と結びついていることを示している。

表3は、奈良県が策定した地域医療構想から抜粋したものだが、「社会保障制度改革への総合的な取組み」として、「医療費適正化計画の推進や、国民健康保険の財政運営とともに都道府県が一体的に取組みを進める必要がある」としている。地域の病床機能を再編する地域医療構想と2018年度からスタートする国保の都道府県化は、政府が目論む“都道府県主導の医療削減”のツールと位置づけられているのだ。

図3_地域医療構想と国保の都道府県化は医療費適正化計画と一体

東京都がどのような姿勢で、各計画を取りまとめ、実行に移していくのか。都民が必要とする医療を確保できるように、協会は引き続き医療現場の声を都に届けていく。

(『東京保険医新聞』2018年2月5日号掲載)