確定申告セミナーを開催「個人番号欄 記入の必要なし」

公開日 2018年03月20日

所得拡大促進税制の利活用も選択肢 

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経営税務部は2月7日、確定申告セミナー(個人開業医向け)を開催し20人が参加した。講師は保険医サポートセンターの中雅博税理士と平澤康大税理士(税理士法人第一経理)で、措置法26条(※)の適用あり・なしの2コースに分かれて確定申告のポイントを解説した。

確定申告書に個人番号欄が設けられたが、個人番号の記載は義務ではなく記載がなくても税務署ではそのまま受理される。個人番号を記載することによって本人確認書類の提示(窓口)または写しの添付(郵送)が求められて、かえって煩雑になることが紹介された。

従来の医療費控除とは別に「セルフメディケーション税制」が新設された。健診や予防接種を受けており、対象のスイッチOTC医薬品の購入額が年間1万2千円(上限8万8千円)超の金額が控除できる。ただし、従来からの医療費控除との併用はできない。

従来の医療費控除は「医療費控除の明細書」を添付することとなり領収書の提出は不要とされた。ただし領収書は各自で5年間保存しなくてはならない。医療費控除の明細書に代えて保険者からの医療費通知の添付でもよい。医療費通知に対象期間が含まれていない月分は医療費控除の明細書に記載する。医療費通知を添付する場合、そこに記載されている医療費については領収書の保存は不要となる。

医療機関が利用しやすい税制として所得拡大促進税制がある。従業員への給与が一定額以上増加した場合、増加額の10%を税額控除するしくみである。①2017年の給与等総額が2013年(基準事業年度)と比べて3%以上増加していること、②給与総額が前年を下回らない、③雇用保険加入者の一人当たりの平均給与額が前年比を下回らないことが要件となる。基準事業年度以降の新規開業でも利用できるので節税対策として活用を検討されたい。

協会では、ご自身で確定申告書類を作成したが、不備等不安な場合に協会の顧問税理士団が、提出前に確認する個別相談会(有料・下記参照)に応じている。事務局でも質問に応じているので、経営税務部までお気軽にお問い合せいただきたい。

(※)措置法26条:保険診療の収入が5000万円以下、かつ自費と保険を併せた医業収入が7000万円以下の場合、実際の経費の金額によらず4段階の概算経費率で所得計算をすることができる。

(『東京保険医新聞』2018年3月5日号掲載)

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