東京保険医協会 第97回 定時総会決議

公開日 2018年04月02日

東京保険医協会 第97回 定時総会決議

 私たちはいのちと健康を守る医師として、国民皆保険を守り、すべての人々が幸せに暮らせる平和な社会の実現を目指しています。わが国において、国民全体の中で生活の苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」(2015年)は15.6%となっており、「子どもの貧困率」(2015年)は13.9%で7人に1人という高水準で推移しています。このような状態にもかかわらず、政府は社会保障費の削減と国民負担増を強行しています。私たちは、日本国憲法 第25条に明記された「健康で文化的な」生活条件を、すべての国民に保障することを求めます。

 一方、2018年度の診療報酬改定率は名目上、本体部分こそ0.55%の引き上げとなったものの、薬価等がマイナス1.74%となり、合計では1.19%の大幅な引き下げとなりました。医療機関の経営を支える原資となる初・再診料等の基本診療料はまたも据え置かれました。たび重なるマイナス改定、人件費の上昇、消費税増税などによって医療機関は経営困難に陥っており、国民に安全な医療を提供するには極めて不十分な改定です。基本診療料の引き上げとともに、地域の住民が安心して受診できるよう、患者負担の大幅な軽減が必要です。

 私たちは第97回定時総会にあたり、以下の項目の実現を要求します。

一、日本国憲法の3原則(平和主義、国民主権、基本的人権の尊重)を擁護すること
一、社会保障は、国民の基本的人権を担保する国家の事業と認識すること
一、改定のたびに複雑難解になる診療報酬点数の不合理を早急に是正すること
一、国保の広域化には必要な経費を投入し、医療・介護の利用者負担を軽減すること
一、消費税非課税の保険医療における仕入れ等に、消費税をかけている不合理を解消すること
一、ワクチンの開発、採用、供給、救済などに責任を持つ、国から独立した機関をつくること
一、原発はつかわず、つくらず、輸出せず、再生可能エネルギー利用の遅れをとり戻すこと
一、沖縄県民の命と環境を脅かす新基地建設をやめ、普天間基地は無条件で返還させること
一、医療機関の経営を危うくするほどの、医療費の引き下げや制度の変更はやめること
一、地域住民が必要とする病床はもちろん、感染症の蔓延、激甚災害、原発事故などのための病床を確保すること 

以上

2018年3月24日  東京保険医協会

180324_東京保険医協会第97回定時総会決議[PDF:97KB]

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