【アピール】2018年度診療報酬改定・新点数諮問案検討会「アピール」

公開日 2018年02月24日

病院・地域での十分な医療提供を可能とする診療報酬を

2018年2月24日
東京保険医協会 病院有床診部

 政府は2025年までに、地域医療構想や診療報酬改定を利用して、安上がりの医療介護体制の構築を目指しており、その実態は「病床削減」「病院から在宅へ」「医療から介護へ」であり、今次改定では具体的な誘導策が露わとなった。

 外来医療では、「かかりつけ医」機能を評価するとして、初診料に機能強化加算が新設されたが、地域包括診療料・加算などを届け出た医療機関が対象とされた。厚労省が推進する「かかりつけ医機能」に協力するか否で算定に格差を設けるべきではなく、医療機関の経営原資となる初診・再診料の大幅な引き上げこそ実施すべきである。また、「オンライン診療」が今次改定で保険収載されたが、ガイドラインが未だ示されておらず、医療の質と安全性をないがしろにした拙速な導入といわざるを得ない。要介護者等への維持期リハビリについては、介護保険でリハビリを行うためのインセンティブを与える点数の設定がされるなど、露骨な政策誘導が反映されている。

 入院医療では、看護体制等による基本部分と看護必要度等の実績部分を組み合わせた評価体系に再編・統合された。7対1と10対1が再編されて7段階の急性期一般入院基本料に、13対1と15対1が再編されて3段階の地域一般入院基本料に変更される。

 療養病棟入院基本料は20対1に一本化され、医療区分2・3の該当割合に応じた2段階評価となる。25対1については当面2年間経過措置とされたものの、療養病床が地域医療に果たす役割を再評価し、そもそも廃止そのものを撤回すべきである。

 回復期リハビリテーション病棟においては実績指数の有無等で6段階に再編、地域包括ケア病棟は「診療実績の評価」に関わる要件が導入され、評価体系が大きく組み替えられた。また、在宅復帰率について、回復期リハビリテーション病棟(「1」~「4」)では一律に7割とされ、従来の「2」(新設「3」「4」に該当)の6割からの引き上げとなる。地域包括ケア病棟では、在宅復帰率の評価対象から在宅復帰機能強化加算届出の療養病棟など複数の対象先が外され、いずれも要件が従来よりも厳しく設定された。

 概していずれの病棟も、看護必要度、在宅復帰率、アウトカム評価などの「実績」が報酬評価の大きなウエイトを占めるようになり、そのための対応が迫られることとなるが、これらの要件は患者の選別に繋がりかねない。患者の疾患の状態に見合った治療こそが重要であり、アウトカム評価等の「実績」を診療報酬に反映させるのは廃止すべきである。

 有床診療所は介護連携強化のための要件緩和及び加算が新設されるものの、入院基本料は据え置かれたままだ。地域医療に果たす役割を十分に評価するためにも、基本点数を大幅に引き上げるべきである。

 東京保険医協会は、患者にとって真に必要な医療が提供できるよう、診療報酬の引き上げ・改善、患者負担増の中止を今後も強く求めていく。

180224【アピール】2018年度診療報酬改定・諮問案検討会アピール[PDF:132KB]

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