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東京保険医協会の主張

揺らぐ健康保険制度 制度安定は国政の要だ

 ある大手健保が今年度の医療制度改革で、前期高齢者納付金と後期高齢者負担増を理由に解散し政管健保へ移行した。国保では全国県庁所在地で無保険状態の子供が少なくとも7333人に上ると報じられた。また、社会保険庁の発表では全国で厚生年金、政管健保へ未加入事業所が10万に上っている。


 わが国の健康保険制度は組合健保(07年7月現在1561組合)、公務員共済(同75)、私学共済、自営や年金者などの市町村国保(同1835)、国保組合などに分かれ年齢構成や所得格差は非常に大きい。例えば加入者平均年年齢は04年度で政管健保は37歳、組合健保34歳、市町村国保54歳だ。国の最も重要な公的医療保険制度が職域、地域ごとに、そして今回の制度で「後期高齢者」という年齢域が導入され、保険者間・世代間でさらに分断されていく。


 政管健保は健保組合と比べ所得水準や保険料は相対的に低い。市町村国保は自営業者のほか退職者、年金者、非正規雇用者、高齢者、低所得者などの問題を抱えている。また、さまざまな理由で保険料滞納・未納も増大し、その財政基盤は極めて弱い。このため従来から特に老人医療費や保険料、退職者医療制度負担を巡って保険者間で議論、争いが絶えなかった。健保連や経団連などから、「現役と高齢者世代の費用負担などが不明確だ」「政管健保は現在全国一律の保険料・保険運営で受益に応じた適切な負担や被保険者の意見等を反映しにくい」などと批判されてきた。


 こうした状況を受け、政府・厚生労働省は後期高齢者医療制度発足と都道府県を軸にした医療保険制度の再編成を目指し、医療費を保険料率に反映させる医療費抑制・医療費適正化を目論んだ。

 この10月、政管健保は全国単位の非公務員型公法人「全国健康保険協会管掌健康保険」となる。@都道府県単位の財政運営A地域ごとに医療費を反映した保険料B道府県間で年齢調整・所得調整C保険料率の上下限は健保組合と同様とするなどが骨子だ。


 また国保でも消費する医療費と保険料の明確化、保険者の再編・統合、小規模市町村国保運営の広域化を進めることになっている。だが、後期高齢者医療制度では市町村、都道府県がその運営責任を回避したため責任や運営が曖昧なまま広域連合として発足せざるをえなかった経緯がある。組合健保はすでに同一県内の再編統合のため地域型健保設立を認められているがその実効性は疑問視されている。


 医療費適正化計画を至上命題とした「2006医療制度改革」では、組合健保や共済組合の再編問題には手付かずのままだ。10月に発足する「全国健康保険協会管掌健康保険」がどう運営されるか注視していく必要があろう。


 年金問題と同様に医療保険制度をどう構築するかは国の社会保障制度の中核だ。諸外国では国民医療保険制度の一元化や国民健康保険と被用者保険の二元化を図っている。


 国民のセイフティーネットが揺らいでいる。複雑で階層間対立を招き易い現行の医療保険制度をどうするか、各党は次期総選挙で明確に提示すべきだ。


東京保険医新聞2008年9月15日号より

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