サルビア会 就労環境部 創設へ

公開日 2011年01月25日

 協会に新たな部会が創設される運びとなった。女性医師の就労支援や、女性スタッフを雇用する雇用主への支援等を活動の柱とする専門部会だ。名づけて「サルビア会・就労環境部」。東京発の新しい就労支援のスタイルを全国に発信する。今後の活躍が期待される。

 協会は1月15日、仮称「女性部」設立準備会を開催。田中眞希理事、多久嶋美紀理事を始め、9人が参加した。

 現在、東京協会の女性医師会員は887人(2010年10月1日現在)。会員割合は17・1%であり、女性会員のうち女性開業医は80・3%を占めている。また、2010年度の女性理事は過去最高の4人となり、2010年第7回理事会では保団連女性部員を推薦、関東エリア初の女性部員を選出した。

 このように近年、女性会員は増加傾向にあり、その活躍も顕著になってきている。こうした状況を踏まえ、協会の組織活性化をはかる意味からも、東京協会の「女性部」(仮称)発足の機運は高まっていた。

 準備会では、保団連女性部員でもある田中眞希理事が、東京協会における今後の女性部の活動として、1.女性スタッフを雇用する雇用主への支援、2.女性医師の就労支援、3.他の女性専門職の団体との交流、4.協会の他部署との連携、以上4つを柱にすすめることを提案。「全国に向けて東京が発信するインパクトの大きさを生かし、取り組んでいきたい」と語った。

 部の名称は、女性主体の部であることをイメージしつつも、男性医師とも積極的に連携した活動ができるよう、あえて「女性」の文字を廃し、「サルビア会・就労環境部」とした。

 また、準備会参加者からは「東京には全国から集まってきた女性医師が多くおり特に30代くらいの女性医師は、パートタイムの勤務程度の就労で、能力を生かしきれていない人が多い。そういう方々に注目されるような企画をしたい」「女性医師同士の意見交換の場も重要だが、それ以上の実りのある運動を展開したい」「子育て中の医師・従業員へのベビーシッターを派遣するシステムがあるとよい」等の意見が出された。

 今後の課題としては、学習会だけでなく改善に向けての運動をすすめること、部として申し合わせ事項を作成すること、部会には一般会員も参加できるような体制をとること、また男性医師を巻き込んだ幅の広い運動を展開すること等が挙げられる。

 役員体制は、初代部長に田中眞希理事が就任し、本準備会に参加した会員全員が部員となることを了承した。  拝殿清名協会会長は部の設立に当たり「男性医師も一緒に関わりつつ、東京の女性医師が力を合わせて協会をより良くし、全国の先頭を走るような協会にしてほしい」と大きな期待を寄せた。

 新部会は、2月の理事会で承認を経て正式発足となる予定だ。

田中 眞希 東京保険医協会理事

東京発の新しい就労 環境向上活動、始まる

 昨年、他県の保険医協会同様、東京においても女性部会を立ち上げては、との要請を受けました。正直なところ、本協会においては、“男女が対等な立場で共に責任を負う”環境は、各自の努力において既に成立していると思えました。しかし、従来型活動の中心であった“女性医師による女性医師の就労支援”の枠を越えたところにニーズがある、と気づき、このたび部会設立の運びとなりました。

 本部会は、以下の活動を基本の柱と考えております。

  • 女性スタッフの雇用問題への対応 東京協会の会員のほとんどが女性のコ・メディカルとともに仕事をしています。ことに開業医は雇用主の立場にあります。そこで、女性スタッフの雇用問題(産休、ベビーシッター、家族が感染症の時の対応など)について、小児科医や社会保険労務士とともに、事例相談・検討会を開きます。
  • 子育て・介護支援 女性会員の多くが40~60歳代です。この年代は、家族の疾病・介護に直面しますが、個人開業では簡単に休診はできません。子育て支援のみならず、介護支援にも焦点を当てます。

 さらに、何ら公的扶助のない介護者(介護職以外で、家族等の介護に従事する者。主に女性が多い)支援など、新しい社会活動にもアプローチを試みます。

 “行動する保険医協会”を体現するものとして、前述のベビーシッター、介護などは、会社・施設の見学ツアーを開催したり、将来的には、会員が安心して利用可能なパイプライン作りも念頭においています。

 こうした企画により、団体に所属しないドクターに、協会の良さを知って頂ければ入会のきっかけにもなるでしょう。

 以上、少し鼻息あらい感じでしたが、拝殿会長が掲げる“開かれた協会”活動の一環として、この部会はとてもふさわしいものになるのではないでしょうか。女性が中心で立てた企画には男性会員もちょっと顔をだしてみたくなるでしょう(違っていたらすみません!)し、理事や評議員以外の会員も気軽に参加しやすいと思います。

 最後になりましたが、私のほか、5人の会員の先生にご相談させて頂き、この部会の素晴らしい名称が決まりました。それが、“サルビア会・就労環境部”です。女性らしさを“サルビア”(ラテン語の「治療」「救い」に由来)の花に託しつつ、従来にない幅広い就労環境向上活動を行う部会です。男女を問わずご参加いただき、東京スタイルを全国に発信したいと希望しています。