ドクターズ デモンストレーション 国民皆保険堅持の重要性を確認

公開日 2013年06月15日

300人が参加した市民公開シンポジウム

5月26日、ドクターズデモンストレーション実行委員会は、市民公開シンポジウム「日本の医療・福祉と危機のゆくえ」~参議院選挙にむけて政策を問う~を開催した。この実行委員会は植山直人協会勤務医委員会委員や住江憲友保団連会長らが世話人を務めている。当日は300人以上が駆けつけた。前半では日本医師会の中川俊男副会長、宇都宮健児弁護士、色平哲郎佐久総合病院医師、井上博之宮城協会副理事長が報告を行った。

宇都宮健児弁護士からは貧困と格差の現状について報告があり、「生活保護基準の切り下げと消費増税は貧富の格差を拡大し、受診困難ばかりか餓死と孤立死を増加させる。経済の貧困に加えて、人間関係の貧困が生きがいや希望までを奪い去っていることが問題だ」と指摘した。

中川俊男医師は、「TPPに加盟して自由診療が全面解禁になれば、新しい薬や治療が自由診療で全額自費のままとなり、高額な自己負担が持続する。お金のある者とない者の間に医療の格差が生まれることになる」と述べたあと、日本医師会の国民皆保険を守る取組みや考えについて紹介した。

色平哲郎医師は「TPPに加盟した方が良いという情報が全く伝わってこない。なぜ加盟しようとするのか分からない」等とTPPを痛烈に批判した。

また井上博之歯科医師からは、「被災地窓口負担免除打ち切りにより、大幅に受診が減少した。必要な治療を安心して受けられる制度を作り上げるためには、窓口負担の軽減が愁眉の課題である」と発言があった。

後半は、自民、民主、みんな、維新、共産、生活各党の議員が医療課題について各党それぞれの政策や議員個人の考えを表明した。国民皆保険の重要性については5人の議員は一致したが、医療費・社会保障費の財源についてはそれぞれ大きな考えの違いが見られた。

(『東京保険医新聞』2013年6月15日号掲載)