都内「適時調査」の返還金額が判明 最高額1億5,000万超

公開日 2015年04月15日

都内の主に有床医療機関に対して行われる「適時調査」(※)の返還金額について、協会が開示請求を行った結果、厚生局東京事務所がそのデータ開示に応じた。

明らかになったのは、2010(平成22)年度から2013(平成25)年度までの4年間に東京都内で行われた適時調査の件数、返還金額等(表1)だ。

表1 東京都内における適時調査返還額/年度別

直近の2年間について見れば、2012年度は、105件の有床医療機関に対し調査が行われ、返還金額が確定した医療機関数は34件。返還金額の総額は、5億4,246万4,822円である。

一医療機関あたりの最大返還額は、1億5,063万2,612円【内訳/施設基準を満たしていない感染防止対策加算1・検体検査管理加算Ⅳ、算定要件を満たしていない診療情報提供料(Ⅰ)、指導要点のカルテ記載のないがん性疼痛緩和指導料】、最低額は2,560円【内訳/外泊により食事を提供していないにもかかわらず算定した入院時食療養(Ⅰ)】となっている。この他、返還金ゼロの医療機関は40件。返還金額が未確定の医療機関は31件となっている。

2013年度は、107件の調査が行われ、返還金額が確定した医療機関は17件。返還金額の総額は、5,080万4,517円である。

一医療機関あたりの最大返還額は1,954万9,900円【内訳/施設基準を満たしていない感染防止対策加算2、同じく検体検査管理加算Ⅳ】、最低額は2,275円【内訳/施設基準を満たしていない薬剤管理指導料】となっている。この他、返還金ゼロの医療機関は65件。返還金額が未確定の医療機関は25件となっている。

全国的にはここ数年で、個別指導による返還額と適時調査による返還額が逆転し、2009年以降、適時調査の返還額が個別指導のそれを大きく上回った(表2)。

こうした傾向は今後ますます顕著になっていくものと思われる。協会は適時調査への対応を病院経営上の最重点対策として位置づけ、今後も有床の協会会員に対し必要な情報を提供していく。

表2 返還金額の推移(全国集計)

◎協会会員医療機関には、返還金額の内訳の詳細が記された適時調査開示資料の原本をお送りしますので、希望者は協会病院・有床診部 TEL03(5339)3601までご連絡ください。
(※)「適時調査」とは

適時調査は、届出が必要な点数項目について、届出後、算定要件を満たし適切に算定されているか否かについて、厚生局東京事務所が直接医療機関に出向き調査を実施するもの。1994年、施設基準を有する点数項目の申請が「承認制」から「届出制」に変更された。これにより、算定要件をクリアする全責任が医療機関側に求められることになった。これに伴い適時調査は診療報酬の返還等、一層苛烈となり、現在に至っている。通知上は原則として年1回(新たな施設基準の届出時は、受理後6カ月以内を目処に)行われるが、都道府県によっては、

3年に1回程度のところもある。

調査の結果、算定要件を満たしていないことが判明した場合、所要の指導を行い、なお改善が見られない場合、届出受理の取り消しが行われる。受理の取り消しが行われた場合、届出に関わる診療報酬は不当利得として返還措置がとられ、当該届出に係る新たな届出は、6カ月間はできない。

(『東京保険医新聞』2015年4月15日号掲載)