【シリーズ】どうなる!?これからの医療・介護①「全ては国民会議『報告書』に」

公開日 2014年09月25日

 これからの医療・介護がどうなるかを考えるとき、2013年8月6日に発表された「社会保障制度改革国民会議報告書」を一瞥するだけで国の姿勢が自ずと見えてくる。

表 社会保障国民会議報告書(2013年8月6日)の見出し/医療・介護分野
医療・介護提供体制 (1) 病床機能報告制度の導入と地域医療ビジョンの策定
(2) 都道府県の役割強化と国民健康保険の保険者の都道府県移行
(3) 医療法人制度・社会福祉法人制度の見直し HD(ホールディング)型医療法人にも言及
(4) 医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築
(5) 医療・介護サービスの提供体制改革の推進のための財政支援
(6) 医療の在り方
 病院完結型から地域完結型への転換、総合診療医、医療職種の見直し、日々の診療・治療の効果分析、
 レセプトデータ等の分析による効率化
(7) 改革の推進体制の整備(地域医療ビジョンの策定)
医療保険制度改革 (1) 財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保
  都道府県国保運営責任、負担能力に応じた保険料
(2) 医療給付の重点化・効率化(療養の範囲の適正化等)
 大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」に相談することを基本、
 ★70~74歳負担2割化、ジェネリック促進、患者の自己負担は「年齢別」から「負担能力別」へ

(3) 難病対策等の改革
 ★類似の制度との均衡を考慮した自己負担の見直し等
介護改革 ★予防給付の見直し、★一定以上の所得のある利用者負担見直し、
★居住費食費補足給付の試算勘案、★特養ホームの中重度者重点化

※太ゴシックは本文要約、★は医療・介護総合法等により措置済み

 「1.改革が求められる背景と社会保障制度改革国民会議の使命」では改革の方向性として「機能分化とネットワークの構築」、「健康の維持増進」を掲げ、医療費削減の体制づくりを都道府県に丸投げするとともに、国民に「病気になるなよ」と自己責任を押しつけようとしている。その後に続く「2.医療・介護サービスの提供体制改革」と「3.医療保険制度改革」では下表のように具体的な改革案が盛り込まれている。

 安倍内閣はこれらの社会保障の縮小を民間企業の「公的保険外サービス」で補い、患者申出療養など混合診療の拡大によって「稼ぐ医療」にしようとしている。そのプランは「日本再興戦略2014改訂」「骨太の方針2014」「健康・医療戦略」などに散りばめられている。

 今号から、社会保障制度改革推進法、社会保障プログラム法、医療・介護総合法、また日本再興戦略や骨太の方針、規制改革実施計画および健康・医療戦略、厚労省2015年度概算要求等に盛り込まれた内容を紹介しながら、国の社会保障解体政策を明らかにしていく。

(『東京保険医新聞』2014年9月25日号掲載)

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