東京都のワクチン② 2016年度 子ども任意予防接種 都内区市町村の助成状況－概要－

　毎年、協会はワクチン助成について区市町村アンケートを実施している。2016年度の集計結果のうち、以下に掲げる4つの任意接種ワクチンの助成状況を概説する（下表）。協会は、接種を希望する子ども・保護者らが、費用の心配なく接種できるよう、引き続き自治体に働きかけていく。

おたふく・流行性耳下腺炎

　都内では16の自治体が独自の助成を実施している。2016年度は、豊島区が助成内容を従来の3,000円から「全額助成」へと拡充したほか、東久留米市では地区医師会が独自の事業として助成を開始している。

ロタウイルス

　渋谷区が2012年度から都内で初めて助成を開始し、2015年4月杉並区、2016年4月中野区、同年7月品川区と助成が広がっている。

B型肝炎（任意接種、2016年10月以降）

　本年10月から定期接種となったB型肝炎ワクチンだが、以前から千代田区、新宿区、品川区、渋谷区、豊島区、清瀬市、荒川区では国に先がけて助成を導入していた。
　このうち荒川区は、国の定期接種が2016年4月1日以降に生まれた児を対象としているにもかかわらず、接種は10月まで待たなければならないため「生後2カ月からの接種が受けられるように」と配慮したものだ。同区では当初の目的を達成したとして、10月以降は任意接種の助成を終了。その他の自治体は10月以降も来年3月末までを目途に助成を継続している。
　一方、八王子市と武蔵村山市は、定期接種がはじまる10月から、市独自の任意接種の助成を開始した。いずれも国の定期接種の対象とならない「2016年3月31日以前に生まれた子ども」に配慮することを目的としたものだ。

麻しん・風しんの定期未接種者向けの助成（下表　※定期接種対象期間の者を除く）

　麻しん・風しん混合ワクチン（MRワクチン）の定期接種は、1歳児を対象とする「第1期」と、小学校就学前の1年間を対象とする「第2期」とがある。本来であれば各期間中に接種が完了することが望ましいが、とりわけ「第2期」の接種率は伸び悩んでおり、2015年度の都内の接種率は89.8%（全国ワースト2位）だ。
　未接種者をそのままにしておくことは、突発的な流行の際に感染拡大の要因となり得ることから、都内32の自治体（小金井市は第1期のみ）が未接種者を対象に助成を実施している。
　2016度は新宿区、台東区（第2期に拡充）、品川区、大田区、町田市が新たに制度を導入しており、23区で未実施の自治体は「港区」と「板橋区」の2つを残すのみとなった。

2016年度　子ども任意予防接種 都内区市町村の助成状況（概要）　東京保険医協会 地域医療部調べ

区市町村	おたふく	ロタ （ロタリックス　生後6週～24週） （ロタテック　生後6週～32週）	B型肝炎 （任意接種）	麻しん・風しん※ １期(1歳児)未接種	麻しん・風しん※ ２期（小学校入学前年）未接種
千代田区	全額助成 （1歳～就学前：1回）	―	全額助成 （２カ月～1歳未満：3回）	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
中央区	4,000円助成／回 ・１回目:1歳～就学前 ・２回目:就学前年度	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
港区	―	―	―	―	―
新宿区	自己負担 3,000円／回 （就学前年度：1回）	―	自己負担2,600円／回 （2カ月～1 歳未満：3回）	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
文京区	3,000円助成／回 （1 歳～就学前：1回）	―	―	全額助成 （2歳～19歳）	全額助成 （2歳～19歳）
台東区	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
墨田区	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
江東区	―	―	―	全額助成 （２歳～５歳の年度末）	全額助成 （小学1～4年の年度末）
品川区	3,000円助成／回 （1歳～3歳：1回）	7,000円助成×2回	3,000円助成／回（0 歳：3回）	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
目黒区	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
大田区	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
世田谷区	―	―	―	全額助成 （２歳～小学1年生）	全額助成 （２歳～小学1年生）
渋谷区	全額助成（1歳～3歳：1回）	8,500 円助成×2回	全額助成（0 歳：3回）	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
中野区	4,000円助成／回 （1 歳～就学前：1回）	6,000円助成×1回	―	全額助成 （ 2歳～中学3年 ）	全額助成 （ 2歳～中学3年 ）
杉並区	4,000円助成／回 （1 歳～就学前：1回）	【ロタリックス】6,000円助成×2回 【ロタテック】   4,000円助成×3回	―	全額助成 （２歳～小学6年）	全額助成 （２歳～小学6年）
豊島区	全額助成 （1 歳～就学前：1回）	―	全額助成（2カ月～1歳未満：3回）	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
北区	3,500円助成／回 （1 歳～就学前：1回）	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
荒川区	3,500円助成／回 （1 歳～就学前：1回）	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
板橋区	―	―	―	―	―
練馬区	3,000円助成／回 （３歳未満：1回）	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
足立区	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
葛飾区	4,000円助成／回 （1 歳～2 歳：1回）	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
江戸川区	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
八王子市	―	―	全額助成 （2016/3/31以前生まれの児：3回）	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
立川市	―	―	―	―	―
武蔵野市	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
三鷹市	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
青梅市	―	―	―	―	―
府中市	―	―	―	全額助成 （2歳～小学6年）	全額助成 （2歳～小学6年）
昭島市	―	―	―	―	―
調布市	―	―	―	全額助成 （2歳～7歳6カ月未満）	全額助成 （2歳～7歳6カ月未満）
町田市	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
小金井市	―	―	―	全額助成 （2歳～4歳）	×
小平市	―	―	―	―	―
日野市	―	―	―	全額助成 （2歳～18歳）	全額助成 （2歳～18歳）
東村山市	―	―	―	―	―
国分寺市	―	―	―	―	―
国立市	―	―	―	―	―
福生市	―	―	―	―	―
狛江市	―	―	―	―	―
東大和市	―	―	―	5,000円を限度に助成 （2歳～18歳）	5,000円を限度に助成 （2歳～18歳）
清瀬市	―	―	2,500円助成/回 （2015/4/2～2016/4/1生：3回）	―	―
東久留米市	自己負担 2,000円／回 （1歳～2歳 ：1回） ※市医師会による独自事業	―	×	―	―
武蔵村山市	―	―	2,500円助成/回 （2015/4/1～2016/3/31生：3回）	―	―
多摩市	―	―	―	―	―
稲城市	―	―	―	―	―
羽村市	―	―	―	―	―
あきる野市	―	―	―	―	―
西東京市	自己負担 3,100円／回 （1歳：1回 ）	―	―	自己負担 5,800円 （2歳～18歳）	自己負担 5,800円 （2歳～18歳）
瑞穂町	3,000円助成／回 （1歳～5歳：1回 ）	―	―	5,000円を限度に助成 （18歳未満）	5,000円を限度に助成 （18歳未満）
日の出町	依頼中	依頼中	依頼中	依頼中	依頼中
檜原村	―	―	―	―	―
奥多摩町	―	―	―	―	―