2018年・新点数情報:新設された医学管理料・加算

公開日 2018年03月20日

次期診療報酬改定では、診療所に係る医学管理料・加算が複数新設されたほか、既存の点数でも診療情報提供料(Ⅰ)などで要件が追加・緩和された。代表的なものを紹介する。なお、細かな算定要件については、3月上旬に厚労省から発出予定であり、詳細は3月後半に開催する新点数説明会で確認されたい。

(新)小児運動器疾患 指導管理料

かかりつけの医師からの紹介を受けて受診した6歳未満の患者であって、脊柱側弯症や先天性股関節脱臼等の運動器疾患を有する患者に対し、小児の運動器疾患について専門的な知識を有する医師が療養上の指導を実施した場合に6月に1回に限り算定する。算定する際に厚生局への届出は必要ないが、医療機関が満たすべき基準がある。

基準

以下の全ての要件を満たす常勤医師が1名以上配置されていること。
①5年以上の整形外科の診療に従事している。
②小児の運動器疾患に係る適切な研修を修了している。
③小児の運動器疾患の診断・治療に必要な機器・設備を有している。
④必要に応じて、自施設又は連携にて入院可能な体制を有している。

(新)療養・就労両立   支援指導料・相談体制充実加算

就労中のがん患者(産業医が選任されている事業場において就労しているものに限る)であって、入院外のものに対し、以下の①~④の全てを行った場合に6月に1回に限り算定する。産業医への文書の提供に係る診療情報提供料(Ⅰ)・(Ⅱ)の費用は、同指導料に含まれ算定できない。
①医師が病状、治療計画、就労上必要な配慮等について、産業医あてに文書で診療情報を提供する。
②医師又は医師の指示を受けた看護師若しくは社会福祉士が病状や治療による状態変化等に応じた就労上の留意点に係る指導をする。
③産業医から治療継続等のための助言を取得する。
④産業医による助言を踏まえ、医師が治療計画を見直し・再検討する。
相談体制充実加算は、以下の施設基準を満たし厚生局へ届け出た場合に加算できる。

施設基準

①療養環境の調整に係る相談窓口を設置し、専任の看護師又は社会福祉士を配置している。
②就労を含む療養環境の調整について、相談窓口等において患者からの相談に応じる体制があることを周知している。

(新)認知症サポート指導料 

以下の基準を満たす医療機関において、他の医療機関からの依頼により、認知症を有する入院外の患者に対し、患者又は患者家族の同意を得て、療養上の指導を行うとともに、当該他の医療機関に対し、療養方針に係る助言を行った場合に、6月に1回に限り算定する。基準を満たしていれば、厚生局への届出は必要ない。

基準

以下の要件を満たす常勤の医師が配置されていること。
①認知症サポート医に係る研修等を修了している。
②認知症サポート医として地域の認知症患者に対する支援体制構築のための役割・業務を担っている。

(新)小児抗菌薬適正使用支援加算    

小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料において、急性上気道感染症又は急性下痢症により受診した小児であって、初診の場合に限り、診察の結果、抗菌薬投与の必要性が認められず抗菌薬を使用しないものに対して、抗菌薬の使用が必要でない説明など療養上必要な指導を行った場合に算定する。

(新)人工呼吸器導入 時相談支援加算

難病外来指導管理料及び小児科療養指導料において、人工呼吸器管理の適応となる患者と病状、治療方針等について話し合い、当該患者に対し、その内容を文書により提供した場合は、当該内容を文書により提供した日の属する月から起算して1月を限度として、1回に限り加算する。

(新)診療情報連携共有料

歯科診療を担う別の医療機関からの求めに応じ、患者の同意を得て、検査結果、投薬内容等を文書により提供した場合に、提供する医療機関ごとに患者1人につき3月に1回に限り算定する。ただし、診療情報提供料(Ⅰ)(同一の医療機関に対して紹介を行った場合に限る)を算定した同一月においては、別に算定できない。

算定対象は、慢性疾患等を有する患者であって、歯科治療を行う上で特に検査値や処方内容等の診療情報を確認する必要がある患者である。また算定に当たり、歯科医療機関と連携を図り、必要に応じて問合せに対応できる体制(窓口の設置など)を確保している必要がある。

診療情報提供料(Ⅰ)の変更点

①療養情報提供加算(50点)が新設された。患者が医療機関・介護老人保健施設・介護医療院に入院又は入所するにあたり、主治医が訪問看護ステーションから提供された情報を併せて添付して入院又は入所する医療機関等に情報提供を行った場合に加算できる。
②歯科医療機関連携加算の算定対象が拡大された。栄養障害を有する患者のほか、摂食機能障害を有する患者(疑われる患者を含む)にも加算できる。また、在宅療養歯科支援診療所以外の在宅医療を行う歯科医療機関に対して情報提供を行った場合にも算定できることになった。
③算定可能な提供先に、介護医療院・指定特定相談支援事業者・指定障害児相談支援事業者が追加された。
生活習慣病管理料の変更点
①療養計画書の記載項目(様式)に、血圧の目標値及び特定健康診査・特定保健指導を実施する保険者からの依頼に応じて情報提供を行うこと等に関する記載欄が追加された。特に糖尿病の患者については、検査欄の血糖値及びHbA1cの欄、高血圧症の患者については、血圧の欄は必ず記載しなければならない。
②糖尿病又は高血圧症の患者については、治療効果が十分でない等のため生活習慣に関する管理方針の変更、薬物療法の導入、投薬内容の変更等、管理方針を変更した場合に、その理由及び内容等を診療録に記載し、当該患者数を定期的に記録していることが算定要件に追加された。

退院時共同指導料の変更点

従来は医師及び看護職員が共同指導する必要があったが、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士が共同指導する場合も算定できることになった。
小児特定疾患カウンセリング料の変更点
①小児科を標榜する医療機関に加え、心療内科を標榜する医療機関でも算定できることになった。
②算定対象患者が15歳未満だったものが、18 歳未満の患者にまで拡大された。

新設された主な点数(医学管理等)
① 小児運動器疾患指導管理料  250点(6月に1回)
② 療養・就労両立支援指導料
  相談体制充実加算  
1,000点(6月に1回)
500点(要届出)
③ 認知症サポート指導料 450点(6月に1回)
④ 小児抗菌薬適正使用支援加算 80点(初診時)
⑤ 人工呼吸器導入時相談支援加算 500点(1回限り)
⑥ 診療情報連携共有料 120点(3月に1回)

 (『東京保険医新聞』2018年3月5日号掲載)