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地域包括ケア病棟 在宅復帰率の実績算入、退院先が消える?療養病棟等を除外

公開日 2018年03月30日

2014年の改定で一部入院基本料に導入された「在宅復帰率(自宅等退院患者割合)」の実績要件が変わる。

180325_01_図_実績となる在宅復帰の流れ(4月以降のイメージ)

特に、今回の改定で大きな変更があったのは「地域包括ケア病棟」だ。実績となる退院先として新たに「介護医療院」が追加されたほか、有床診療所については加算の有無に限らず「介護サービスを提供している有床診療所」への退院も加味できるようになる。しかし、「介護老人保健施設」と「療養病棟」への退院については一切実績として加味できなくなった。

4月以降、在宅復帰率の要件が求められるのは再編後の「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の1~2」で、いずれも従来の「7割以上」という基準値は変わらない。しかし、東京都内には、当該入院料1(病棟・病室)の届出医療機関は110施設3736床(2018年2月時点、厚生局資料より)あり、なかには自院の病床すべてを当該入院料1としている病院もあることから、療養病棟除外の影響は少なくない。

昨年7月21日に厚生労働省の審議会「入院医療等の調査・評価分科会」で報告された資料によると、地域包括ケア病棟(病室)を退院した患者(調査対象7万4,083人)のうち、約7割が自宅に戻っているものの、介護老人保健施設4.7%(約3,500人)、自院の療養病棟3.1%(約2,300人)、他院の療養病棟1.8%(約1,300人)と、全体の約1割の患者の退院先として選ばれている。今回の改定は、この約1割の退院患者を実績として加味できなくなることを意味する。

医療現場では、退院時の患者の状態によって受入先の選定に大変な労力を要しており、今回の改定はこれに拍車をかけるものだ。実績となる受入先が見つからず、地域によっては東京都以外の施設に退院していくことも懸念され、まさに国が謳う“住みなれた地域で”に逆行すものと指摘せざるを得ない。

(『東京保険医新聞』2018年3月25日号掲載)

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