治療用装具の負担軽減、厚労省・受領委任払いを検討

公開日 2018年06月21日

医療装具レクP

治療用装具の費用は、一旦、全額を患者が負担し、その後、保険者から療養費(現金)が支給される。義足など高額な治療用装具の場合、支払いができず、歩行自立の可能性があるのに車いすを選択する事例が生まれている。細田悟協会理事は、治療用装具の現物給付化を求め、6月4日、厚労省に要請・懇談した。


~高額で歩行自立を諦める患者も~

今回の厚労省要請・懇談は初鹿明博衆院議員の尽力で実現し、細田悟理事が出席した。
社会保障審議会医療保険部会「治療用装具療養費検討専門委員会」では、治療用装具療養費の受領委任制度の導入を検討していることが厚労省の説明で明らかになった。リハビリ専門の医師も参加する「既製品装具のリスト収載検討ワーキンググループ」を立ち上げることが決定しており、支給対象となるかどうかが曖昧になっている既製品については、支給対象品目と基準価格のリスト化が行われる見通しだ。また、療養費の不適切な請求事案に対応するため、補装具製作事業者に対する指導監督のあり方も検討されていく予定だ。
現在、治療用装具の療養費払いは、現金給付となっている。患者は医師の指示に基づいて製作された治療用装具代金の全額を補装具製作事業者に支払う。その後、領収書を添付し療養費請求を保険者に行うことで、患者の負担率に応じて療養費(現金)が支給されている。
そのため、義足など高額な治療用装具の場合、自己負担をためらって装具の作成をあきらめ、歩行自立ができる可能性があるのに、車いすの生活を選択する事例が臨床現場で生れており、初期負担の軽減が課題となっている。

(『東京保険医新聞』2018年6月25日号掲載)

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