コロナ対策の強化を 都福祉保健局・病院経営部と懇談

公開日 2021年10月13日


コロナ禍で診療を続ける医療機関を支援するためにPCR 等検査の拡充や事務負担の軽減等を要望した(9月9日、東京都第二本庁舎会議室)

 

 協会は、小池百合子都知事に提出した「2022年度東京都予算等に関する請願」に基づき、9月9日に東京都福祉保健局および病院経営本部と懇談した。

 当日は須田昭夫会長をはじめ、協会役員7人が2時間にわたり要請・意見交換を行った。

COVID―19対策強化と現場の負担軽減

 COVID―19対策では、感染者を早期に発見するために、PCR検査等の拡充が必要だ。都からは「高齢者施設や障がい者施設等の従事者に対する定期的・集中的な検査や、繁華街や大学等でのモニタリング検査を実施している」との回答があった。

 協会は、それらに加え、医療機関における感染拡大防止のために、一般診療所や病院の医師・医療従事者等のエッセンシャルワーカーにも定期的に公費でCOVID―19のスクリーニング検査を行えるよう強く要望した。

 医療機関では、日常診療に加え、COVID―19疑い患者へのPCR等検査や新型コロナワクチン接種、自宅療養者への診療等、負担が増大している状況を説明した。

 さらに、HER―SYS、G―MISやV―SYS、VRS等、複数のCOVID―19関連システムへの入力が煩雑で、医療現場にとって大きな負担となっている実態を訴え、システムの簡素化・一本化を国に要望するよう求めた。それと同時に、医療提供体制を担うすべての医療機関が存続できるよう、国に支援拡充を要望するのみならず、都として緊急の財政措置を積極的に行うよう要請した。

都立病院の独法化は撤回を

 COVID―19患者の受け入れ等、行政的医療を率先して担っている都立・公社病院は、都民や地域の医療機関にとって不可欠な存在だ。その重要性を認識する一方で、都は「2022年度内の地方独立行政法人(独法)化をめざす方針に変更はない」と回答した。

 これに対し協会は、「独法の定款や中期目標に行政的医療の提供を明記しても形骸化する恐れがある。コロナ禍において行政的医療が後退するようなことがあってはならない」と反論した。引き続き、都立・公社病院を独法化せずに存続させるための取り組みを行っていく。

保健所機能の強化・拡充

 COVID―19の収束が見通せないことで、保健所の業務がさらに逼迫し、自宅療養者の健康観察が遅れたり、積極的疫学調査の縮小によりクラスターを見逃す等の事態が強く懸念される。都は「保健所支援拠点を設置して有期雇用の保健師や看護師等を配置したり、都職員を保健所に派遣する等の応援体制をとっている」と回答した。

 COVID―19をはじめとした感染症への対応のみならず、母子保健、難病対策、精神保健福祉等の分野でも保健所は重要な役割を担っている。協会は、業務量に十分対応できるよう保健師・看護師等の人材を確保・育成することも含め、保健所機能の拡充を改めて要望した。

(『東京保険医新聞』2021年9月25日号掲載)

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