2022年度 診療報酬改定 本体わずか0.43%増 全体ではマイナス改定

公開日 2021年12月28日

自公政権で5回連続の実質マイナス改定

 政府は12月19日、2022年度の診療報酬改定率を本体部分0・43%引き上げる方向で最終調整に入った(12月20日現在。12月22日の閣議決定で確定する予定)。今回は、病院看護の処遇改善(0・2%)や不妊治療の保険適用(0・2%)の財源を確保するとしている。薬価については1・3%引き下げ、診療報酬全体では自公政権下において5回連続の実質マイナス改定となる見込みだ。

 全体での実質マイナス改定は、コロナ禍で疲弊する医療機関の深刻な経営難に追い打ちをかけるものであり、本体わずか0・43%の引き上げでは、医療機関が赤字傾向を脱することは困難である。また、コロナ禍での減収を補てんすることはできない。

 政府はこの間の改定では引き下げられた薬価財源を本体部分に充当すると主張してきたが、現場ではその実感はなかった。

 そもそも今回のプラス分の不妊治療は一部診療科で、比較的対象患者が少ない。各報道によると、看護師の賃上げについても入院料の削減と抱き合わせである。数字の上ではプラスを謳っているが、実質的に上昇はなく、医療費削減を狙っていることは明らかだ。

診療報酬は医業経営の原資 正当な評価を

 財務省の財政制度等審議会財政制度分科会(榊原定征分科会長)は11月8日、2022年度予算編成の建議とりまとめに向けた議論を行い、予算編成の焦点の1つである診療報酬改定について「躊躇なく『マイナス改定』をすべき」と述べた。

 これに対し診療側は中医協において、「国民の安全を守るためには、地域の医療と医療従事者を支える適切な財源が必要であり、2022年度の診療報酬改定ではプラス改定しかあり得ない」と強調してきた。

 コロナ禍で、医療機関は感染リスクや風評被害による受診抑制等に耐えながら、新型コロナウイルス感染症の入院医療や外来医療、ワクチン接種などに対応するとともに、コロナ以外の地域医療を担っている。医療機関経営の原資となる診療報酬でしっかりとした評価を行うことが不可欠だ。

(『東京保険医新聞』2021年12月25日号掲載)