新点数諮問案検討会 病院・有床診中心に解説

公開日 2022年04月09日

 
 検討会の様子(2月26日、日本教育会館第一会議室)

 病院有床診部は2月26日、日本教育会館で新点数諮問案検討会を開催し32人が参加した。

 施設基準が多く求められる病院・有床診療所では3月4日の告示通知の発出を待たず、早めに対策を講じておく必要があるため、中医協の諮問案を基に解説を行った。

 開会の挨拶で、細田悟理事は「新型コロナウイルス感染拡大が続く中、都内の病院や高齢者施設ではクラスターが当たり前のように発生している。救急医療も逼迫し、コロナ患者だけでなく、一般医療の患者も受け入れが困難な状況が続いている。本来であれば大幅に診療報酬を引き上げるべきだが、残念ながらかえって医療機関を疲弊させる改定内容となった」と今次改定を批判し、「各医療機関では現状を分析し、対策を講じることが求められている。今日は病院の窮地を救うための方策をつかんでいただきたい」と訴えた。

 改定内容について一部を紹介する(※3月10日現在の情報に基づく)。

 一般病床の「重症度、医療・看護必要度」の評価項目から「心電図モニターの管理」が削除され、「点滴ライン同時3本以上」が「注射薬剤3種類以上の管理」に変更された。このことにより基準を満たせなくなることが危惧される。 

 回復期リハビリテーション病棟の基準は大幅に改定され、新規入院患者に占める重症患者の割合が入院料1・2は3割以上から4割以上に、入院料3・4は2割以上から3割以上に引き上げられた(経過措置あり)。

 地域包括ケア病棟入院料1・2で在宅復帰率が引き上げられるとともに3・4で新たに要件化され、要件を満たせない場合は1割減算されることが示された。また、医療法上の病床種別による要件が追加され、一般病床の場合は救急外来等を行っていることが必要となり、療養病床の場合は、自宅等からの入院患者割合6割以上等を満たせなければ5分減算される(経過措置あり)。

 療養病棟入院基本料の医療区分3の「中心静脈栄養を実施している患者」について、摂食・嚥下機能の回復に必要な体制がなければ「医療区分2」で算定するとされた(経過措置あり)。さらに療養病棟入院基本料2の経過措置入院料については2024年3月31日まで2年間延長されたが、所定点数の85%から75%へ引き下げる(経過措置あり)。

 短期滞在手術基本料1に係る麻酔科医の勤務について「手術が行われる日」から「全身麻酔を伴う手術を行う日」に改定された。
 3月25日に開催する病院・有床診向けの新点数説明会では「点数表改定のポイント」を使用して詳細に説明するため、ぜひ参加いただきたい。

(『東京保険医新聞』2022年3月15日号掲載)