国会行動 保険証 存続求め要請

公開日 2023年06月09日

伊藤俊輔議員(衆・立憲/右)
末松義規議員(衆・立憲/右)
川田龍平議員(参・立憲/中央)

 協会は5月18日、国会議員要請を行い、吉田章副会長および細田悟、水山和之両理事が参加した。全会派の東京都選出国会議員に対して、①健康保険証の存続、②オンライン資格確認未導入を理由にした指導の中止、③医療機関への物価高騰対策、④防衛費の増大ではなく地域医療体制の確保や社会保障費の拡充―4点を要請した。

 当日は、伊藤俊輔(衆・立憲)、末松義規(衆・立憲)川田龍平(参・立憲)各議員本人および、松本 洋平(衆・自民)、山岸一生(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、宮本徹(衆・共産)、自見はな子(参・自民)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、田村智子(参・共産)、各議員秘書と面談した。

 国会では、健康保険証を2024年秋で廃止し、マイナンバーカード(以下、マイナカード)に一体化することを含むマイナンバー法等関連法案が衆議院を通過し、参議院で審議されている。医療機関へのオンライン資格確認等システム導入義務化をはじめ、政府はマイナカードと保険証の一体化を強行に進めているが、その中でマイナカードに別人の情報がひも付けられる等の不祥事・トラブルが相次いでいる。

 厚労省調査では2021年10月から2022年11月までに判明しているだけで同様の事例が約7300件あったことが判明しており、このままマイナカードと保険証の一体化を推し進めれば、医療情報が他人に閲覧されてしまう恐れがあるだけでなく、医師が誤った薬剤情報を元に処方した場合、病状の悪化や極めて深刻な副作用等、国民のいのちと健康に重大な被害を及ぼしかねない。

 また、マイナカードを持っていない人には、被保険者であることの「資格確認書」を交付することとなっているが、本人の申請が必要となり、1年毎の更新手続きが求められる。老人ホーム入居者や寝たきり患者、障害者の中には自力での申請が困難なケースがある。現場の介護従事者からは、人手不足や個人情報保護の観点から職員がマイナ保険証を取り扱うことは困難との声が多く挙げられている。

 議員からは「健康保険証の廃止は撤回するべきだ。医療へのアクセスが必要な人ほど無保険者として切り捨てられるような制度にしてはならない」「各種情報漏洩やひも付けミス等、日本のIT能力は高いとは言えない。デジタル化で利便性を向上させる観点は必要だが、最も重要な医療情報の集約を現時点で政府に任せることは到底できない」などの意見が出た。

国会内集会を開催 参院質疑の模様を報告

 昼には、保団連主催「マイナンバーカード強制をやめて 保険証廃止法案は撤回を!」国会内集会が開催され、現地、Web併せて約750人が参加した。

 前日5月17日に参議院特別委員会の参考人質疑で意見陳述を行った竹田智雄氏(保団連副会長)、家平悟氏(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長)がスピーチし、医療機関でマイナ保険証の利用率が低いことや、オンライン資格確認によるトラブルが多発していること、また障害者にとってマイナカードや資格確認書取得のハードルが高く、無保険者が発生することなど、現場での問題を報告し保険証廃止の撤回を訴えた。

 また、駆け付けた国会議員も17日の参考人質疑の模様を報告し、「医療・介護現場からの声が、与党議員にも衝撃を与えた。19日の地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会での法案採決が狙われていたが、とてもそのような状況ではない、という認識が共有された」と述べた(※その後、18日14時に開かれた理事懇談会で、19日の採決は延期が正式に決定された)。

(『東京保険医新聞』2023年6月5日号掲載)