新型コロナ5類化後の診療 意見交換 耳鼻科会員懇談会を開催

公開日 2023年11月09日

 10月18日、研究部・組織部は協会セミナールームにて耳鼻科会員懇談会を開催し、会場2人、Zoom14人の計16人が参加した。今回は耳鼻科診療に関心のある他科の会員も参加を受け付けて開催し、内科、小児科などの会員も多数参加した。司会は平野浩二理事が担当した。

 平野理事は開会挨拶で、「COVID―19の流行は落ち着きを見せ、COVID―19の診療に係る診療報酬もかなり縮小された。このような中で耳鼻科では、コロナ禍前の経営状況に戻していく必要がある。本日は様々な情報交換をしたい」と述べた。

 参加者が自己紹介を行った後、懇談に移った。COVID―19の5類化に伴い患者側の意識が変化したことから、発熱患者が一般外来の窓口に直接来院するなど、感染対策に苦慮している事例が多数の参加者から寄せられた。

 「来院してはじめて発熱していることがわかる患者が一日に数人来る。時間を分けての来院を指示するなどして対応している」「スタッフや他の患者を守るため、発熱での受診の際は必ず事前に連絡するようルール化している」「COVID―19の5類化は経済的観点から行われた側面がある。経済的な思惑に流されず、必要な医療を行っていく必要がある」等の意見が出た。

 COVID―19の後遺症については、患者が多いにもかかわらず、現在算定可能な「特定疾患療養管理料(100床未満・罹患後症状持続)(特例)147点」は3カ月に1回と要件が厳しく、算定しづらい等、批判的な意見が多数寄せられた。中には「後遺症診療を行っているが一度も算定したことがない」との声も出た。

 その他、インフルエンザの流行によってCOVID―19とインフルエンザの同時検査キットが不足していることなど、最近の日常診療での問題についても議論した。

 新規指導や個別指導の話題では、花粉症やCOVID―19患者を診療した場合の外来管理加算等のカルテ記載について情報交換を行った他、新規指導を受けた参加者から体験談が紹介された。「耳鼻科以外の指導官だったので、的外れなことを指摘された上に、耳鼻科の専門家なのにそんなこともわからないのか等の暴言を受けた。非常にショックだった」と理不尽ともいえる指導内容を振り返った。

 最後に、平野理事から「来年も耳鼻科会員懇談会の開催を予定している。ぜひ参加していただきたい」と挨拶があり、盛況のうちに閉会した。
 


発熱患者や新型コロナ後遺症への対応、行政指導の話題など幅広く懇談した(10月18日、セミナールーム)

(『東京保険医新聞』2023年11月5日号掲載)