国会行動 医薬品不足の解決 診療報酬引き上げを要請

公開日 2023年12月11日

末松義規議員(衆・立憲/右)
 

 協会は11月9日、国会議員要請を行い、竹内真弓、細田悟両理事が参加した。

 ①医薬品の供給不足の解消、②2024年4月診療報酬改定において基本診療料を10%以上引き上げること、③国民負担の軽減(負担増計画の中止、消費税減税等)、④インボイス制度の中止、の4点を求めた。

 末松義規(衆・立憲)議員本人と面談した他、伊藤俊輔(衆・立憲)、山岸一生(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、宮本徹(衆・共産)、川田龍平(参・立憲)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、田村智子(参・共産)、山添拓(参・共産)各議員秘書と面談し、健康保険証の存続を求める請願署名2616筆を提出した。

医薬品不足  現場の実情訴える

 鎮咳薬や去痰薬をはじめとする医薬品の供給不足が深刻だ。日本医師会が実施した「医薬品供給不足 緊急アンケート」結果(速報値)では、7割以上の医療機関が医薬品の不足に直面している。協会は、現場で医薬品が不足している状況を訴えるとともに、医薬品の品質・供給・流通について、これまで以上に国が責任を持ち、供給不足を解消することを求めた。

 議員からは「『医薬品が足りない』との声は、各方面から聞いている。政府が責任を持って問題解決に取り組むべきだ」「医薬品不足の慢性化は、政府が医療費抑制のために薬価を削減し続けてきた結果だ。医療費抑制の方針を抜本的に見直すべきだ」などの意見が出た。

実態と乖離 財務省の診療報酬引き下げ提言 

 財政制度等審議会(2023年11月1日)は、直近2年間(2021・2022年度)における診療所の平均的な収益率が高いこと等を理由として、2024年4月の診療報酬改定において初・再診料を中心に引き下げることが適当だと主張した。

 しかし、収益増は発熱外来や予防接種等、新型コロナへの対応に由来しており、一時的なものに過ぎない。財務省が作成した資料は、新型コロナ流行により患者数が落ち込んだ2020年度の収益率を基準としており、極めて恣意的だ。

 新型コロナの診療報酬特例が大幅に縮小・廃止される中、物価高騰も重なり、医療機関の経営は厳しい状況が続いている。診療報酬は公定価格であり、高騰分を価格転嫁することができない。協会は医療機関を維持・存続させるため、基本診療料の10%以上の引き上げを強く求めた。

 議員からは、「新型コロナで患者数が減少した2020年度を基準にすれば、診療所の収益率が上昇しているのは当然であり、収益率の上昇を理由とした診療報酬引き下げは不当だ」「新型コロナ対応に奮闘し、日本の医療を支えてきた診療所に対する仕打ちとは思えない」「診療報酬の引き下げは、岸田政権の重要政策である賃上げの実現とも矛盾する」等の意見が出た。

早急な国民負担軽減を

 諸物価の高騰により患者・国民の負担が限界に達する中、社会保障審議会等では▽長期収載品に係る薬剤の患者自己負担引き上げ▽国民健康保険料の年間上限額引き上げ▽少子化対策のための医療保険料上乗せ徴収▽介護サービス利用料を2割負担とする対象者の拡大▽65歳以上で一定以上の所得者への介護保険料引き上げ▽老健などの多床室室料の全額自己負担化等の負担増が計画されている。これらの計画を中止するとともに、国民や医療機関にとって大きな負担となっている消費税を減税するよう要望した。

 議員からは、「患者はすでに3割もの自己負担を払っており、これ以上の負担増は実施するべきでない」「減税策は、臨時国会の大きな争点になっている。所属委員会で引き続き消費税減税を強く求めていく」「岸田首相の掲げている所得税減税は1年限りであり、問題を根本的に解決することにならない。法人税と所得税の累進税率を引き上げることで、消費税減税の財源を確保することを所属委員会で提案する予定だ」などの意見が出た。

 その他、「診療報酬は引き上げるべきだが、患者の自己負担増につながらないよう対策も必要だ」「医療機関のみならず、中小企業も物価高の影響を価格転嫁することができず追い込まれている。抜本的な物価高への対策が必須だ」「インボイス制度は実質的な増税であるのみならず、中小企業や税務署の事務負担を膨張させる点でも問題がある」など、活発な意見が交わされた。

(『東京保険医新聞』2023年11月25日号掲載)