インボイス開始から3カ月 医療機関は今、どうすべきか

公開日 2024年01月09日

 10月1日からインボイス制度が始まりました。消費税納付額の計算に当たり、仕入税額控除をするためにはインボイス(適格請求書等)が必要になります。

 インボイスを発行するには国税庁への事前登録が必要です。登録することにより、現在年間課税売上高が1千万円以下の免税事業者も課税事業者となり消費税納付義務が発生しますので、慎重にご判断ください。登録取下・失効件数は開始直前の9月のみで7,000件を超え、10月末時点で累計約31,000件となっています。

 また、原則課税事業者のインボイスに登録していない免税事業者との取引に関しては、経過措置として6年間は一定額まで仕入税額控除が可能です。取引先からインボイスの発行をしなければ取引停止と言われたり、一方的に値下げ要求された場合等は独占禁止法や下請法に抵触する可能性もありますので、ご自身の顧問税理士や協会にご相談ください。

 医療機関では、個人の患者が多いため、インボイスの発行を求められることは稀ですが、予防接種・健診など企業等が経費で負担するものについてインボイスを求められることがあります。インボイスの登録をした医療機関は今まで使用していた領収証に「登録番号」「税率ごとに区分した消費税額および適用税率」を記載し、発行した領収証の控えを保存しておかなければなりません。登録をしていない医療機関は今まで通りの領収証を発行し、患者にはその旨を伝えてください。

 

(『東京保険医新聞』2023年12月25日号掲載)