6月改定 新点数説明会 都内3会場で開催

公開日 2024年04月22日

新点数説明会を開催

 協会は都内3会場で5回にわたり新点数説明会を開催した。参加者は延べ3350人を超えた。

 今次改定では、薬価は4月1日から、診療報酬本体は6月1日から実施される。改定率は診療報酬本体の改定率は+0・88%となる一方、薬価・材料費を合わせた改定率は▲1・00%となり、ネット(全体)では2016年度改定から5回連続のマイナス改定となった。

 今回の本体改定率は「生活習慣病を中心とした管理料・処方箋料等の効率化・適正化」の▲0・25%を含む数値である点が重要だ。「適正化」には処方箋料の引き下げ、特定疾患処方管理加算の廃止・引き下げ等が含まれる。明らかに診療所を標的にしたものであり、診療所では2022年度改定と同様に本体も実質マイナスとなる。

 医療関係職種の賃上げを目的として、初・再診料の引き上げやベースアップ評価料の新設等が行われたが、処方箋料や特定疾患処方管理加算が廃止・引き下げされたため、賃上げどころか経営が悪化するのは明白だ。会員医療機関からは「コロナ禍で懸命に診療した結果、医療機関は儲けすぎと言われ、結果的に診療報酬も引き下げられた。これでは廃院を検討する医療機関も多数出るだろう」との怒りの声があがっている。


今次改定への関心や懸念から多くの会員が出席し会場を埋めた(3月28日、文京シビックホール)

効果・手法に疑問残る診療報酬による「賃上げ」

 今次改定では医療関係職種の賃上げを目的として新設された「外来・在宅ベースアップ評価料ⅠⅡ」や「入院ベースアップ評価料」は、対象職員の賃金総額等も含めた詳細な計算、改善計画の作成、厚生局への定期的な報告が要件とされるなど、膨大な事務作業が必要となる。

 事務職員に対する賃上げは初・再診料で賄うとされ、各種ベースアップ評価料の対象外であり、会員医療機関からは落胆の声が多い。

 そもそも初・再診料や入院基本料などの基本診療料の点数をはじめとする、各種の診療報酬項目が、「全ての医療従事者が患者に必要な医療を不足なく提供するために必要な最も基本的な技術評価コスト」として適切に評価されていれば、ベースアップ評価料を新設する必要はない。

 診療報酬の改定財源を賃上げ対応に係る財源として紐づけする手法は、事実上政府が診療報酬を通じて医療機関の経営に介入することと同義であり問題である。

生活習慣病に対する医学管理が大幅に変更

 今次改定では、特定疾患療養管理料・特定疾患処方管理加算の対象疾患から「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧症」が除外された。3疾病に対する医学管理については、生活習慣病管理料では検査や注射の出来高算定を可とするⅡの区分を新設し、当該新区分への吸収・再編が見込まれている。

 生活習慣病管理料を算定する場合、概ね4カ月に1回以上は、患者の同意(署名)を得た上で療養計画書を交付する必要があるうえ、療養計画書は交付の都度、診療録へ添付することが義務付けられており、大幅に事務作業が増加するものと想定される。

 また、生活習慣病管理料の施設基準では、「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示する」こととされている。会員からは「長期処方やリフィル処方の可否は、患者の状態に応じて医師が都度判断するものであり、患者希望で行うことが可能であるかのような誤解を招く院内掲示を義務付けたことは問題だ」等の意見が出た。

5月16・27日開催Q&A説明会にご参加を

 3月5日に告示・通知が発出されてから、既に不明瞭な取扱いや誤植等が多く判明している。

 協会は5月16・27日の両日、新点数Q&A説明会を開催する。新点数の疑問・質問を解説する会員限定の説明会だ。未入会の方はぜひこの機会に入会手続きを済ませて受講いただきたい。

 

(『東京保険医新聞』2024年4月15日号掲載)