ロールプレイで指導を疑似体験――模擬指導に学ぶ指導の実際

公開日 2013年10月05日

壇上で「模擬指導」を演じる協会審査対策委員

協会審査対策委員会は9月21日、新宿住友ホールで指導対策講習会「模擬指導に学ぶ指導の実際」を開催した。参加は、会員ら124人。 「模擬指導」では、指導医療官、事務官、被指導者、立会い人の役に協会審査対策委員、事務局員が扮した他、帯同弁護士の役は田辺幸雄弁護士(江東総合法律事務所)が演じた。

参加者からは、「『模擬指導』を見ることで、個別指導のイメージを具体的に持てるようになった」「弁護士帯同の必要性を強く感じた」との感想もあり、好評を博した。

事務官による指導

厳しく追及する事務官役

「アルバイトの先生の保険医登録はしていますか!?」――事務官による「保険医療機関の概要」の確認から始まった模擬指導は、休診日や診療時間の変更に伴う届出、保険証コピー時に患者同意を取っているか等についてのチェックが行われた。また一部負担金の徴収について被指導者が「従業員、電話再診の場合、徴収していない」と答えると、「それは療養担当規則に違反している」と厳しい口調での指摘も行われた。

指導医療官による指導

厳しく追及する指導医療官役

指導医療官による診療内容に踏み込んだ指導に移った―「特定疾患療養管理料の管理内容は、カルテのどこに記載していますか?」「これですね、著変なし」「それは単なる所見です。記載がないと自主返還となります」――厳しい口調で追及の手を緩めない指導医療官は、患者の希望で行われた検査の是非や、療養担当規則により「みだりに交付しない」とある療養費同意書の交付の必要性、レセプト病名等について指摘を行った。

通知が来たら協会に相談を

返答に窮する被指導者役

協会からの解説が続く。「個別指導は、監査とはまったく別物。診療報酬の自主返還は、あくまで医療機関の任意の協力によるもので強制はできない。指導の当日は『検討する』と持ち帰り、後日協会にご相談いただきたい」「協会は現在10人の帯同弁護士体制で臨んでいる。通知を受け取ったら一人で悩まず、まずはご連絡頂きたい」と強調された。

指導立会いの経験から学ぶ

地区医師会で保険担当理事をしている会員が自身の「指導立会いの経験」に基づき報告した。

~~(中略)~~

弁護士帯同の経験から学ぶ

報告する田辺幸雄弁護士

続く「弁護士帯同の経験」報告では田辺幸雄弁護士が、2012年2月以降、江東総合法律事務所で帯同した14件に及ぶ個別指導の実例に基づき報告した。

まず田辺弁護士は「指導は法律的には行政指導であり、行政手続法の適用を受ける」と指導の法的位置づけを説明。そのうえで、「行政手続法第32条では、“行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならない”と定めている。模擬指導の中で指導医療官が暴言をはくシーンがあったが、これは明らかに行政手続法違反となる」として、あくまで法の範囲で指導を行うことを求めることが肝要とした。

~~(中略)~~

続く「審査対策委員会からの報告」では、①協会けんぽによる資格確認問題、②社保レセプト病名漏れでも再審査請求は受け付けられる、③新規個別指導―増える再指導、④診療所でも始まった生活保護指導、そして⑤9月診療分から開始となる国保「縦覧点検」―以上について解説した。

「質疑応答」では、「高点数により指導に至ったケースは何件あるか」との質問が出され、2011年度のデータとして「高点数医療機関327件を指導対象とし、実際に行われたのは8件」と報告された(表省略)。

(『東京保険医新聞』2013年10月5日号掲載)