公開日 2017年04月21日
厚生局「長期中断は好ましくない」と明言
関東信越の各協会は2016年12月14日、さいたま新都心合同庁舎にて関東信越厚生局と懇談した。2016年7月に提出した改善要請書への回答と当日行われた意見交換について前号に続いて掲載する。
以下、
- 「⇒」:協会側の改善要望書に対する関東信越厚生局の回答
- 協:協会側発言
- 厚:厚生局側発言
4)指導の「中断」について
⇒個別の状況にもよるが、目的を指導時間中に果たせない場合、中断は裁量権の範囲であると考えている。長期に及ぶ中断は、確かにあるかと思う。現在は期間の短縮、解消に向けて取り組みを進めている。早期再開ができるように今後も取り組みたい。
協)中断は局長通知(指導大綱)にもない。行政側の一方的な判断ではなく、少なくとも被指導者が納得いく形にしてほしい。再開は2カ月以内を目処としてほしい。中断が1年、2年と長期にわたるとストレスで診療に支障をきたす。それが本当に国民医療のためになるのかお考えいただきたい。
協)神奈川は2年超の中断がある。被指導者は精神的にダメージを受けているので、再開の目処を伝えるなど配慮してもらいたい。
厚)長期中断はなるべく早く再開したいと思う。例えば持参物不備で中断した場合だと、比較的早く再開できるかと思う。
協)東京の歯科は他県に比べて中断がかなり多かったが、2014年11月の参院厚労委員会で当時の保険局長が「可能な限り早期に再開するよう努めたい」と答弁したことを受けて、多くが再開した。但し未だ中断中のもので長期に及ぶものもある。レントゲンを忘れたために2年間放置されている例や、介護を抱えている被指導者がいつ再開するのかと厚生局に照会しても「目処は示せない」と一言で済まされたという報告もある。もう少し丁寧な対応ができないか。
厚)長期中断は好ましいと思っていないので、期間の短縮に取り組んでいきたい。
5)指導医の質の担保
⇒指導大綱に基づき適切・丁寧な指導を実施していきたい。
協)指導医の言動が、弁護士がいる時といない時とで大きく違うことがある。懇切丁寧に行うのが指導。指導医に対する研修を厚生局でやることは考えていないのか。
厚)関信越厚生局管内では指導医と指導を担当する事務官については、いろんな場面で懇切丁寧な指導をするよう研修等を行っている。指導医が診療報酬について熟知をしていることは当然必要だ。指導方法の平準化は必要かとは思う。関信越管内で会議や研修等を通じて懇切丁寧な指導と共に、指導のあり方の平準化について話していきたい。
協)なかには療養担当規則を理解していない指導医もいる。間違った指導をする指導官はだいぶ少なくなったが、余りにも高齢な指導医や現場を知らない指導医は辞めてもらいたい。怒鳴る云々は人権侵害になるので徹底してほしい。
《他の要望項目への回答》
●指導と監査を峻別すること
⇒個別指導と監査は健康保険法上の適用根拠条文も、指導大綱などの関係通知も異なる。それぞれ区別して実施している。
●”高点数”の算出根拠(計算式)を明示すること
⇒平均点数の算出根拠、計算式については基となるデータは当局でも把握していない。
●指導は「懇切丁寧に」行うこと
⇒指導大綱に基づき適切・丁寧な指導を実施していきたい。
●通知に記載された時間内に指導を終えること
⇒指導大綱、関係通知に基づき適切に実施していきたい。時間内での終了について事務所に周知していきたい。
●録音および弁護士の帯同を妨げないこと
⇒医療機関から録音の求めがあったら理由を確認した上で認めている。弁護士の帯同は一定のルールを基に認めている。必要性の確認をする場合はあるが、妨げているということはない。
●自主返還を求めないこと
⇒課長通知「指導大綱における保険医療機関等に対する指導の取り扱いについて」に基づいて対応している。(おわり)
(『東京保険医新聞』2017年4月15日号掲載)