【画像有り】患者・国民と連帯し日本の進路を切り拓こう

公開日 2016年01月05日

新年あけましておめでとうございます。

 昨年は日本の進路に係る重大な事項が安倍政権により次々と強行され、具現化されました。国民は政治の行方に大きな関心を持ち、意思表示としてさまざまな行動を取りました。過去に例を見ないほど各層各界において運動が盛り上がり、メディアも大きく取り上げました。

 政治に大きく影響を受ける医療界においても、2025年に向けた「地域医療構想」、「地域包括ケアシステム」の構築に向けて医療・介護両面からの大胆なシステム転換が求められています。しかし厚生労働省からは概略のみが提示され詳細は明らかになっていないため、各自治体における準備はほとんど進んでいないのが現状です。

東京保険医協会 会長 拝殿 清名

 すでに各地域では小さなグループを整え、多職種連携を進めていますが、全体をコーディネートするシステムと情報網が確立されておらず、医療・介護・福祉の提供側と患者・利用者との信頼関係に頼らざるを得ない状態にあります。

 国の責任で必要なサービスを受けることができ、地域住民のニーズに応える「地域包括ケアシステム」を実現させなければなりません。医療・介護・福祉等を提供する医療人には多くの役割が求められてきます。

 そのためにも「地域包括ケアシステム」を公的な社会保障システムとして機能させていく必要があり、「自助・互助」を強調した社会保障費削減のツールとして利用させない取り組みが重要です。

 近年、病院医療は入院期間の短縮を図り、個々の入院患者の社会的な背景や生活習慣を診ない傾向が強まり、患者の人間性へのケアが失われていると感じています。特に終末期医療においては、在宅医療の重要性が高まっているなかで、医療者と患者の信頼関係構築が最も望まれるところであります。

 患者の目を見て話す、訴えを十分に聞き、吸い上げることに留意すれば自然と良好な関係を築くことができると思います。2016年は医療提供者と患者の信頼関係構築に努めてまいりましょう。また、国民に医療政策と医療制度の現状を理解していただく努力も必要です。

 国民の命と健康を脅かす「医療崩壊」を招いてはなりません。2025年に向けて、われわれも住民から信頼される地域医療の担い手として積極的に声をあげて参りましょう。最後に会員諸氏の協会活動への参加を切にお願い申し上げます。

東京保険医協会 会長
拝殿 清名

(『東京保険医新聞』2016年1月5・15日合併号掲載)