保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】2014年を振り返る オール日本の力で未来を拓こう

公開日 2014年12月25日

 京都・清水寺から発信された、2014年をあらわす言葉は「税」であった。消費税増税が国民生活におおきな影を投げかけた年であったといえる。

 ふつう、増税は過熱した景気を冷やすために行われる。景気が落ち込んだときには経済振興策が実施され、国費を投入して国民の所得を増加させる。生活に困窮した人たちに対しては、仕事と給与を与える政策が行われる。米国で実施されたニューディール政策がよく知られている。

 ところが2014年、日本ではデフレ下で増税するという、乱暴な社会実験が行われてしまった。

 1997年以降、日本は給与所得が減少しつづけ、消費が低迷するために所得がさらに減少し、消費はますます低迷するという悪循環にあった。ここに消費税が3%増税されたのである。景気は当然のことながら、ますます悪化している。大量の通貨「円」を投入しても、国の信用が低下するだけで、超円安をまねき、輸入物資の価格高騰が庶民を苦しめている。

 消費税は福祉目的に使うという説明であったが、消費税導入以来、消費税収入の累積総額は法人減税の累積総額にほぼ等しい。今回も福祉に使われた形跡に乏しい。福祉分野では数々の切り捨て、自己負担増等の改悪が連続して実施された。

 2014年は「消費税増税」の他にも、「構造改革路線」による医療・福祉の切り捨てと、日本を海外で戦争する国に変質させる「軍事大国化路線」がすすめられた年として記憶に残るだろう。

 構造改革では、「世界中で最も企業が活動しやすい国」をめざして、企業減税がすすめられ、労働法制の破壊が計画されている。非正規労働、時間外給与ゼロ、限定正社員、金銭解雇などの言葉は、基本的人権をそこなうものである。

 軍事大国化路線では、特定秘密保護法、憲法解釈の変更、集団的自衛権、国家安全保障会議、武器輸出三原則廃止、海兵隊構想、国防費増額、沖縄新基地建設、などの言葉がおどる。辺野古米軍基地の建設着工は、沖縄県民の総意を踏みにじって強行された。

 医療と福祉の分野では、まず医療費の実質マイナス改定が実施された。在宅医療の点数は衝撃的な引き下げが行われ、熱心に取り組んできた医療機関を不当に苦しめている。同時に導入された「地域包括診療」は、「医療から介護へ」「施設から在宅へ」を標語に掲げた。

 病院に対しては病床基準を引き上げたうえで、「病床機能報告書」を義務付け、これに基づいて、都道府県が「地域医療計画」を立て、医療費削減のために病床数をコントロールする計画だ。最も高機能とされる7対1病床は、2025年までに36万床から18万床に削減するという。2025年に必要とされる病床数を、全体では40万床も削減する構想だ。

 病院から押し出された人たちは、「自助・自立・共助」の方針のもと、独力で、あるいは助けあって生きていくことが要求される。「公助」は救貧政策としてのみ、実施される。

 一方、国が行う介護保険サービスのうち、介護予防の部分が切り離されて、市町村がおこなう事業に移されることになった。サービスの質は市町村任せとなるが、多くの市町村からは、人材がなく予算のあてもない、という声があがっている。

 多くの国民の声を無視して、安倍政権は今後も暴走し続けるのだろうか。今回の総選挙で、オール沖縄の声は政権党の議席を小選挙区で許さなかったことに答えがあるかもしれない。

 国民の命と生活を守るためには、思想・信条の垣根を越えたオール日本の力によってこそ、この暴走をストップさせる展望が拓けるのではないだろうか。

(『東京保険医新聞』2014年12月25日号掲載)

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