【一部文字背景色調整要】審査・指導講習会を開催――カルテ記載など日ごろの備えが大切 納得できない減点は再審査請求を

公開日 2014年12月25日

協会審査対策委員会は11月29日(日本教育会館)と12月21日(立川商工会議所)の両日、「審査・指導対策講習会」を開催した。

当日は、協会に寄せられた減点事例の紹介のほか、個別指導の指摘事項・カルテ記載の留意点について協会講師団が解説した。

参加者からは「審査の実際や個別の減点事例を知ることができて参考になった」「日常のカルテ記載の重要性を再認識した」「来年も開催してほしい」などの感想が寄せられた。

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症状詳記や傷病名の点検が必要

はじめに内科が請求時に気をつける点として、赤羽根巖理事が検査や処方の減点事例を紹介した。

「最近、1月に2度以上同じ検査をすると『過剰』として減点される傾向がある。症状詳記や傷病名の点検が必要だ。また適応にない病名で処方しても適応外として減点される。病院から紹介された患者に、病院と同じ傷病名で同じ薬剤を請求したところ、適応病名なしのため減点された事例もあるので注意してほしい」と述べた。

次に整形外科のレセプト上の注意点として、画像診断や処置の減点事例を酒井均理事が解説した。

「最近、画像診断に関して別々の部位であっても近接部位であれば一連のものとして査定されたり、週2回のペースで撮影すると『過剰』とされる事例が多い。標準よりも過剰と判断されるおそれがある症例は、症状詳記を付記した方がよいのでは」と指摘した。

続いて「国保で、関節穿刺を評価の低い関節腔内注射に減点されるものが出てきた。関節穿刺をして薬液を注入した場合、関節穿刺の処置料か関節腔内注射の点数のどちらをとるかは、医療機関の判断で算定する。このような納得できない減点を受けた場合は、必ず再審査請求を出してほしい」と訴えた。

療養費同意書 交付判断しっかりと

講習会では、「個別指導でも療養費同意書の交付についての指摘がされる。患者から、はり・灸、あん摩・マッサージ同意書の交付を求められて、漫然と交付することは、療養担当規則17条違反となる。同意書を漫然と記載するだけでなく、例えば『変形性関節炎で療養費同意書に記入したが、レセプト・カルテの病名は高血圧だけ』、『リウマチ治療中の患者が、はり・灸を希望したため同意書を書き、保険診療は併行して給付できないのに、その後痛み止めを処方した』、『患者が持参した同意書には歩行困難なため通院不可と記載されていたが、その後も慢性疾患の治療のため外来で受診していた』などの場合では、減点にとどまらず、個別指導に結びつくこともありうる」と説明があった。

その上で「現在、施術業者に対して調査が厳しくなっている。同意書の交付判断は慎重に判断してほしい」と解説した。

指導については浜野博理事から、「初診料の算定は患者が任意に診療を中止し、1カ月以上経過した後に再来院した場合には、同一疾病であっても算定できるとされているが、慢性疾患はその対象外とされている。胃炎や高血圧など慢性疾患の診断がついていると、縦覧点検によって再診料に減点される事例が多い」と注意が呼びかけられた。

協会は審査対策委員会を毎月開催し、年間1,400件を超える再審査請求書のアドバイスをしている。納得できない減点は、ぜひ協会にご相談ください。

● 査定・減点のお問い合わせは協会研究部・審査対策委員会まで ● TEL 03(5339)3601/FAX 03(5339)3449
(問い合わせは会員・会員医療機関の方に限ります)

(『東京保険医新聞』2014年12月25日号掲載)