2013年、協会創立50周年 保険医運動の先人達の志を胸に

公開日 2013年01月15日

新しい年を迎えるにあたり、ごあいさつ申し上げます。

一昨年は大震災と原発事故、昨年は国外においてはEU問題、中国問題と、非常に大きな事象が生じた年でありました。時の政府の力量が試されました。慌しく年が過ぎ、虚しさと無力な思いを抱きました。

さて、東京保険医協会は昨年、創立以来最大の5,270人の会員を擁する団体となりました。都民・国民に安全・安心な医療環境を提供できるように、日々地域医療に活動なさっておられる保険医の先生方の一助となるべく、医療政策と診療報酬制度における改善を求める活動を通じて、また、保険医の生活と権利を擁護する取り組みが評価され認められた結果であると確信しております。今後におきましても、方向性を見失うことなく努めてまいります。

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2013年度は、当協会創立50周年を迎える年になります。保険診療制度・医療政策等、時の政府の施策に異議を唱え改善を求めた先輩諸兄の、時には激しく対峙し時には心広く受け入れる等の活躍により保険医運動は始まりました。創立当初の理念は今日まで受け継がれており、運動体として組織されております。

然しながら一方におきましては、医学の発展に伴う医療の変化に瞬時に対応すべく、又会員のスキルアップを目指して色々な催しが持たれ、会員の先生方への利便を図っております。皆様方の積極的な参加を望みます。記念事業等を企画しておりまして、後日ご案内致します。

昨年の運動と致しましては、後記の如くであります。

(1) 東京歯科保険医協会との間で連携関係を新たにすすめ、CPAP・OA等を始めとする診療連携をすすめ、又次年度は市民公開講座を共催する方向で調整中であります。

(2) ワクチン問題では、そのギャップの是正を求め、各種の小児ワクチンの定期接種化を求める運動を昨年よりも強く展開してまいります。

(3) 医師法21条における解釈が純粋に法律に基づく解釈になった事を広く会員に周知して参ります。

(4) 産科無過失補償制度が全科に拡大する動きに対し制度の不備矛盾を指摘し、見直しを求める運動を進め同制度の透明性を求めていきます。

(5) 有床診療所活動問題について、有床診療所は在宅医療をすすめる上で貴重なベッドであり、後方支援で貴重な役割を果しておりますとともに、医療崩壊を止めるツールとして大切であります。療養病床の削減が図られておりますが、有床診療所の存続のため診療報酬上の改善を求めていきます。

(6) 共済関係においては、保団連を中心とする一般社団法人「休保共済会」を通じて今春より「休業保障共済制度」が再開されることになりました。保団連各協会の関係諸氏の努力に敬意を表したいと思います。

(7) 医療におけるIT化に関する冊子をまとめました。

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2014年度診療報酬・介護報酬の改定(前倒しの恐れ)に向けて、現在の種々の診療報酬上のしばりをなくし簡素公平な仕組みとなるように運動を進めねばなりません。大局観に立脚した医療制度の構築を望みます。2013年も色々な問題提起を行いつつ現実に即した運動に基づき、運動体としての理想の協会の立場を具現していきたいと思います。本年こそ暗闇に一筋の光が見られる医療界になるこことを切に望みます。

東京保険医協会 会長
拝殿 清名

(『東京保険医新聞』2013年1月5・15日合併号掲載)