保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

B型肝炎ワクチン学習会を開催―なぜすべての子どもにB型肝炎ワクチン接種が必要なのか

公開日 2015年08月25日

B型肝炎ワクチン学習会の様子写真

協会・地域医療部は、7月18日に「B型肝炎ワクチン学習会」を開催し、医師、コメディカル、自治体関係者など49人が参加した。

講師およびテーマは、乾あやの先生(済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科)が「なぜ今、すべての子どもにB型肝炎ワクチン接種が必要なのか」、また湊通嘉先生(公益社団法人 豊島区医師会)が「豊島区医師会のB型肝炎ワクチン接種助成の取組み」について講演した。

早ければ2016年度に定期接種化

B型肝炎ワクチン学習会の様子写真

B型肝炎ワクチンをめぐっては、2015年1月に厚生労働省の審議会で、B型肝炎ワクチンの定期接種化に向けた意見が取りまとめられ、早ければ2016年度に新たに定期接種に加わる道筋が示されている。

過去、日本におけるB型肝炎ウイルスの感染経路のほとんどが、キャリアの母親から子どもへ分娩時に感染(垂直母子感染)する事例であったが、近年では体液(尿、唾液、涙、汗など)からウイルスが見つかり、それらを介して例えば、父親から子どもへの感染、保育園で集団感染した事例などが報告されている。

特に、3歳未満の子どもが感染すると持続感染者になりやすく、将来的に慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する危険性も指摘されており、子どものB型肝炎ワクチンの重要性があらためて注目されている。

豊島区医師会の取組みと意義

B型肝炎ワクチン学習会の様子写真

豊島区医師会では、2013年9月から区内の「生後2カ月~1歳未満児」を対象に、接種費用の全額助成を始めた(「診療研究」誌、2015年8月号を参照)。

湊先生からは、当該助成事業を利用した件数の推移を紹介し、豊島区の例年の出生数2,000人程度と比較すると推定接種率は96%に達したと報告した。

全額助成により接種率の向上に貢献するとともに、この事業がなければ接種を受けなかったであろう多くの子どもに、安全な未来に繋がる免疫という見えない鎧をつけることができた、と事業の意義を訴えた。

国を待たずに助成を始める自治体も

東京都内では、「渋谷区」「品川区」につづき2015年度から「千代田区」、そして前述の豊島区医師会の助成は2014年度末で終了となり、新たに「豊島区」として助成が開始されている(表)。
いずれの区でも概ね「0歳児」を対象とした助成制度となっているが、豊島区では2015年度に限り「1歳児」も対象とする経過措置を設けている。

国による定期接種化の見通しも「0歳児」を対象とする予定だが、乾先生からも「3歳未満」を対象とするように働きかけをしていく必要がある、との訴えもあり参加者へ理解を求めた。

表 東京都内のB型肝炎ワクチン助成の状況(2015年度)
対象者 回数 助成内容
渋谷区(2013.4~) 0歳の乳児(1歳の誕生日の前日まで) 3回 全額助成(※1)
品川区(2014.4~) 生後~1歳の誕生日の前々日まで 3回 3,000円助成/回
千代田区(2015.4~) 2カ月~1歳の誕生日の前日まで 3回 全額助成
豊島区(2015.4~) 生後2カ月~1歳に至るまで
(生後2カ月~2歳に至るまで※2)
3回 全額助成
参考・豊島区医師会(※3)
(2013.9~2015.3)
生後2カ月~1歳未満 3回 全額助成

※1 昨年度までは「1回:5,000円助成」(渋谷区)
※2 2015年度に限り経過措置。2016年度以降は上段のみ(豊島区)
※3 2013年4月~8月末までは接種費用の一部を償還払いにて助成(豊島区医師会)

(『東京保険医新聞』2015年8月25日号掲載)