保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

確定申告セミナー 措置法あり・なしに分かれて確定申告の留意点を学ぶ

公開日 2014年02月25日

措置法なしコース(山口玉美税理士)

協会経営税務部は2月6日、確定申告セミナーを開催した。今年は、租税特別措置法第26条による特例概算経費を利用しているか否かで2コースに分かれ、合計32人が参加した。講師は、山口玉美税理士、平澤康大税理士(いずれも税理士法人第一経理)。

この間の税制改正によって、2013年~37年まで復興特別所得税(隔年分の基準所得税額×2.1%)が課されているほか、給与所得控除額に245万円の上限が設けられている。

また、「国外財産調書制度」が創設され、その年の12月31日において時価合計が5,000万円を超える国外財産を有する場合は「国外財産調書」を提出しなければならなくなった。今回からの適用で、2013年末における国外財産の保有状況を2014年3月17日までに提出する。

事業収支は、入金日ベースではなく診療日ベースで計上する。例えば、年度をまたいで支払われる診療報酬や健診費用、窓口負担の未収金、翌月10日までに保険請求しなかった月遅れ請求分やレセプト返戻分を再請求した場合も、収入すべき金額は日々の診療の都度に確定して売上とする。

買掛金・未払金も同様の考え方で、支払いが発生した年度で計上する。

従業員を診療する際、福利厚生の一環で窓口負担を徴収していない場合は、その金額を徴収したものとして収入に計上し、同額を福利厚生費として支出に載せる。この処理を怠ると計上漏れの原因となり、保険点数に対して明らかに収入が低くなることから、税務調査でも指摘を受けやすい。また、保険医の個別指導でも指摘事項になっており注意が必要である。

見落としがちな点として、確定申告によって還付金が生じた場合の還付金に対する利息分(還付加算金という)については課税対象となるため、受領年度の雑所得としなければならない。

自費・保険が明確に分かれる経費の見直しを(措置法26条)

措置法ありコース(平澤康大税理士)

措置法26条とは、社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合、診療報酬にかかる費用は実額の経費に代えて概算経費率を用い所得計算することができる制度である(いわゆる4段階税制)。

同制度を利用する際には、自由診療分と保険診療分との経費が明確に区分できると、さらに措置法差額が多くなるため節税となる(表参照)。

表 社会保険診療と自由診療分とに明確に区分できる経費の例

  1. 事業税・消費税の課税対象分(自由診療分)
  2. 医師会から振り込まれる特定健診で差し引かれた検査料(自由診療分)
  3. 第三者に委託したレセプト請求費用(社会保険診療分)

今回は対象外だが、14年分申告(来年3月の申告)から、診療報酬が5,000万円以下であっても、医業総収入が7,000万円を超える場合は措置法26条が適用できなくなった。なお、この場合の「医業収入」とは、保険診療+自由診療(健診、予防接種等)の収入であり、給与所得(校医や産業医、公的休日診療の出務収入)、雑収入(物品販売、自動販売機収入、往診時の車代等)は含まない。計上ミスによって措置法が使えなくなる事態にならないよう、留意されたい。

措置法ありコースを担当した平澤税理士は、「措置法だから税務調査が来ないということはない」として、「診療報酬以外の収入や医師会等からの報酬などをチェックしてくる場合もあるので、記帳はしっかりと行ってほしい」と呼びかけた。

協会では医療機関の経営に詳しい保険医サポートセンター税理士団が確定申告はじめ日常経理の相談に応じている。近年は「税務のセカンドオピニオン」として個別相談の利用も増えており、事務局でも簡単な問い合わせに応じているので、お気軽に経営税務部までご連絡いただきたい。

(『東京保険医新聞』2014年2月25日号掲載)