一般医に知ってほしい摂食・嚥下障害― 医科歯科連携研究会に122人参加

公開日 2015年02月05日

講師の藤島一郎先生(右)と戸原玄先生(左)

協会・医科歯科連携委員会は12月6日(土)に東京歯科協会、千葉協会と共催で医科歯科連携研究会2014を開催。医師、歯科医師、薬剤師、コメディカルなど122人が参加した。

藤島一郎医師(浜松市リハビリテーション病院長)と戸原玄歯科医師(東京医科歯科大学高齢者歯科学分野准教授)の2人を講師に招き、それぞれの講演後にはフロアからの意見を交えたパネルディスカッションを行った。

藤島先生は、「一般医に解る嚥下障害の知識」と題し、基礎的な知識に加え、嚥下障害患者の症状、スクリーニング、唾液や水を用いた診断方法などを解説。しばしば遭遇する患者の臨床症状を6つあげ、それぞれに応じた対処方法を披露した。

そのひとつ、口に入れたまま飲み込むことができない、いわゆる送り込み障害(口腔期障害)への対応として、「舌の運動訓練」「義歯・舌接触補助床(PAP)の活用」「リクライニング体位で食べさせる」などを示し、とりわけPAPにより嚥下回数・時間、嚥下圧などに有意な改善があったと強調。このほか様々な工夫をすることで摂食・嚥下機能を改善できるとし、明日からの実践を呼びかけた。

歯科訪問診療で行う嚥下内視鏡(VE)の活用

122人が参加した医科歯科連携研究会2014

次に戸原先生は、「摂食・嚥下障害の評価と実際」と題し、自身が取り組んできた在宅患者への摂食・嚥下機能の評価方法を、嚥下内視鏡(VE)の動画などを多数交えながら解説。

在宅での評価は、限られた検査設備・器材のなかで患者の摂食・嚥下機能を把握しなければならない一方、実際の生活の場である患者宅で行うことでより日常的な機能を知ることができる、とその重要性を強調した。

さらに実際に治療を担当した69歳女性の症例を報告。経管栄養(胃瘻)を導入して以降、まったく摂食・嚥下機能の管理がされていなかったが、戸原先生が往診を担当する中で、3カ月後には常食摂取が可能となり胃瘻抜去した。講演で戸原氏は、「嚥下障害=訓練というイメージを持ちがちだが、むしろ個々の患者の『摂食機能の状態』と『栄養摂取の方法』のバランスこそ重要」とまとめた。

参加者アンケートでは、「在宅患者の摂食・嚥下障害について日々学び、実践することで患者がより良い人生を送れるように支援する」「今後も定期的に摂食・嚥下に関する研究会を開催して欲しい」など多数の感想が寄せられ、盛会のうちに閉会した。

(『東京保険医新聞』2015年2月5日号掲載)